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この四角い世界の上で
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カーテンレールの軽い音をたてて外を見れば、清々しく晴れ渡った空。じめじめとした日々は終わり。待ちに待った梅雨明けだ。

朝日を目一杯に浴びた宇井は、ぐっと体を伸ばして「よし」と気合を入れた。

湿気のこもった家の空気を全部入れ替えて、溜まった洗濯物と生乾きの洗濯物を一掃できる絶好の主夫日和。
今日1日で決着をつけてやる!

その意気込みは、高校生というよりどこかの主婦の方が相応しいのだが…。残念なことに彼にそれを言う人はいない。

ともあれ、頭の中で瞬時に組み上がった今日一日のスケジュールを遂行すべく第一段階、双子が寝ている布団を振り返った。


「誠、橙南。起きろっ、と!」


掛け声と共に、双子が寝ている布団を引きはがせば、折角夢の中を楽しんでいた誠が身をよじりながら起きだした。
隣の橙南はまだ寝ているようだが残念、宇井に容赦の二文字はない。

しぶとい橙南に若干、イラッとしつつまずは軽く肩をゆすって。それでも起きないなら叩いて起こしてやる。

これでもダメなら、次は額を叩くかと思った矢先に、本能で身の危険を感じたのだろう。文字通り、橙南が飛び起きた。
あまりの勢いの良さに、若干驚いた宇井だが、起きたのならこの際なんでもいい。額はまた今度かと伸ばした手をひっこめる。


「2人ともパジャマ洗うからさっさと着替えろ」
「「はぁーい」」


いつもより間延びした返事をする双子は、乱暴に起こされたのが不服らしい。特に、寝起きが良かった割には誠の方が眉間に皺が寄っていて、それは宇井の目にもばっちり確認できたが、今はパジャマの回収が最優先。それぞれが服を取り出してあくび交じりで着替えるのを待つ間、シーツと枕カバーを外す。

3人分の枕カバーと2人分のシーツ(誠と橙南は同じ布団で寝ている)を外し終えると、双子が脱いだパジャマと自分のTシャツとハーフパンツをまとめて洗濯機へ放り込んだ。

まではよかったが、1度に洗うにしては量が多すぎる。
仕方ないのでパジャマを取り出して、先にシーツ類だけを先に洗うことにした。もしここに双子がいて、今のを見ていたなら間違いなく、急がなくてもよかったじゃないかと抗議されただろう。

洗濯機と洗面台が別々の場所にあってよかったと思いながら、宇井はリビングに戻った。


「誠、橙南。顔洗ったか?」


ひょいと入ったリビング。誠と橙南は食事のテーブルにいた。
着替えを済ませ、顔もちゃんと洗ったみたいだが、どうしてそこまで濡れるんだと言いたくなるくらい双子の襟元は濡れていた。

意気揚々と頷く双子とは逆に、あとで洗面所の前を拭かないと、と溜息を漏らしながら、宇井は食器棚から皿を出して目玉焼きを盛り付けてやれば、ぱんっ、と手が合う音。続いて。


「「いただきまーす」」


朝から元気のいい双子に、宇井の目尻も下がる。
かちゃかちゃとフォークを皿にたてながら、3人揃っての朝食が始まった。




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