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バーンビート
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国内某所にある軍の施設。

その施設の中、指令センターに入ってまず最初に目にするのは、正面にでんと構える超大型モニターだ。世界地図と共にいくつものデータが表示されて、これによりターゲットの捜索、監視は24時間自国はもとより世界各国でも行われている。当然、極秘事項だ。

しかし、彼等が今最も力を入れて探しているのは、国を滅ぼしかねないスパイやテロリストよりもっと手ごわく、この地球すら滅ぼしかねない強大な相手、突如現れた謎の巨大ロボット軍団だ。

当初、あのロボット軍団はどこかの研究所が作ったものだと思われていたが、収集されたデータからは今の科学力では到底あのようなロボットは製作できないという結果が。
それだけでなく、彼等は生きているということも判明した。こんなSF話は小説や映画の中だけで実現すると思っていなかっただけに、あまりにも衝撃的すぎる事実。


ロボット軍団は敵なのか味方なのか。
アレはどこからやってきた。
アレの目的は。


アレを覆う謎という分厚いベールは、そう簡単にはがれてくれそうにない。
ただひとつ言えるのは、アレは南米、インド、北極、エジプトと世界をまたにかけて何かを探しているということ。しかしその『何か』も一体、何なのかはまだ不明だ。

突如、モニタールームの自動扉が開いた。パシュン、と空気が抜けるような音に、モニターを見ていた軍曹が気付いて振り返ると、厳めしい顔つきの1人の男が入ってきた。
内海大佐。
この追跡任務の責任者だ。
彼を見るなり軍曹は、慌てて起立、敬礼したが内海大佐は彼に目もくれずモニターと室内を見渡して、何も報告があがらないつまり発展がないと知った内海は声を荒げる。


「5カ月だ!」


怒声を含んだ言葉に、何人かはびくりと肩を震わせた。
右手を広げて、5の数字を示すと内海はさらに大きく息を吸う。


「あのロボットが現れてもう5カ月になる!ロボットが最初に現れた旭町には隊員を派遣して、24時間体制で警備にあたらせている!次に現れた北海道にもそうだ!しかしなぜ、奴等の手掛かりを何も掴めない!この5カ月の間、一体何をしていたんだ!!」


最後に一際大きな雷を落としても、内海の怒りは収まらない。
何の報告もできない部下達は決まり悪そうに視線をそらし、内海はそんな彼らが視界に入るだけで不愉快だと鼻息を荒げていると、1人の軍曹がたった今入った通信を報告すべく振り返った。


「大佐、第3部隊から報告です」


つまらない報告だったらただでは済まないぞ、と視線で脅して内海は報告を聞く。


「ある物質が発見されたようです。調査の結果、地球上の物質ではない特殊なものだとか…」


その報告を受けて、内海は数週間ぶりの笑みを見せたのだが、狡猾さと怪しさが滲みでた笑みだと、彼自身は気づいているのだろうか。


「第3部隊に伝えろ。すぐに本部まで持ってこいとな」



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あきゅろす。
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