バーンビート 4 静かな砂漠に、爆発の音が響く。 バーンビートとガルーダ、プテロンとエアホイル。合体できる者はそれぞれ合体して戦っているが、レスキューがいなくてはプロファイターに合体できないシェリフとファイヤーは、サソリ型ロボットのミサイルをかわすのみ。 『ちくしょう!レスキューはどこにいるんだ!』 ミサイルの次はサソリの尾。間一髪で避けたファイヤーが叫ぶ。 尾は毒の代わりに、鋭い針を持っていて、いくらファイヤー達の装甲が厚いからって、あんなのに刺されたらひとたまりもない。 着地するより早く、チッ、と忌々しく舌打ちをしたファイヤーはご自慢のガドリング砲を撃ち鳴らす。いつもより多めに撃っているのはイライラしているせいだ。 『こいつの装甲、分厚すぎだぜ!』 『同感だな。俺のシェルショットも通じない』 ファイヤーもシェリフも、今の装備ではこのサソリ型ロボットに対抗するのは不十分。それでもシェリフは諦めず、どこか弱点がある筈だと冷静に分析を行うのだが、ファイヤーは逆にイライラを募らせるばかり。 畜生、レスキューさえいたら! プロファイターに合体できたらこんなやつ、簡単に倒せるのに! 『これでもくらえっ!!』 スカイヤーズのウイングカッターがサソリ型ロボットを狙う。風を切って向かってくるそれを見たファイヤーは『あのバカ!』と叱責する。 『奇襲に叫ぶ奴があるか!』 折角敵の不意をついても、今から攻撃をしますよーと宣言してしまっては意味がない。ファイヤーは再びガドリング砲を唸らせて、少しでも敵の注意が散漫になるように仕向ける。 しかし、サソリ型ロボットはファイヤーに見向きもせずにウイングカッターを尻尾でたたき落とした。ファイヤーの攻撃では、自分の装甲を貫けないと解っているからだ。 小物扱いされていると解ったファイヤーは『なめやがって!』と怒りが込み上がってくる。 『シェリフ!こいつの弱点はまだ解らねーのか!』 『解ったが、俺達の装備では太刀打ちできない』 『俺達のでは、だろ?』 そう言ったファイヤーはニヤリと不敵な笑みを浮かべていた。 一方、砂の中に閉じ込められたトウヤとレスキューだが、状況が変わった。のんびりとバーンビート達の助けを待っていられない。 『(まずい。酸素が残り少なくなってきた)』 早いとこバーンビート達が助けてくれないと、もしレスキューの、車内にある酸素を使いきってしまったらトウヤの命にかかわる。 空気の流れがない車内では、気温は上昇する一方で、トウヤの体温も上昇。この様子だと、酸欠の前に脱水症状を起こす可能性も出てきた。 『(シェリフ、ファイヤー。早く私達を見つけてください)』 すがるような思いでレスキューは救援シグナルを発し続けていた。 サソリ型ロボットに集中砲火。シェリフとファイヤーは持てる全ての武器を展開して、スカイヤーズもウイングカッターで攻撃する。 しかしサソリ型ロボットはびくともせず、宇宙防衛機構の無駄な攻撃にディアとアブロは「あーはっはっは!」と得意げに笑う。 「無駄だって言ってんでしょ!このサソリ型ロボットはガースが補強してくれた最強メカなんだから!」 「そーだそーだ!そう簡単にやられるもんか!」 ディアの後をアブロが続けると、またも得意げに笑う。バカ笑いと言っていいそれに、ファイヤーはイライラ…せずに『さてどうかな?』と逆に笑っている。 『ファイヤー!スカイヤーズ!もう1度一斉攻撃だ!』 『おう!』 『了解!』 シェリフの指示に従って、三方から一斉に攻撃されるもディアとアブロは全く動じない。シェルショットとガドリング砲の威力は高がしれているし、スカイヤーズのブーメランも軌道さえ解っていれば避ける事は可能。恐れるものは何もないのだ。 「だーかーら、無駄だって言ってんでしょー」 「なんか今日は良い感じだな。いよっし!それじゃあそろそろ終わりにしようか」 アブロは、ミサイルのボタンを押そうと指を伸ばして「あれ?」と気がつく。 左にはシェリフ、前にはファイヤー、右にはスカイヤーズ。 バーンビートXはどこに行った? 『バーニングソード!!』 背後からあがった声に振り向くと、太陽を背にしたバーンビートXが切りかかった瞬間。シェリフ達の攻撃は、バーンビートXがサソリ型ロボットに気付かれないよう近づく為の囮だったのだと気付いた時にはもう遅い。サソリ型ロボットは弱点であるエネルギーパックもろとも真っ二つに割れて爆発。 爆風の中、2つの脱出用カプセルが空に飛び出した。 『もー!アブロがさっさとミサイルのスイッチ押さなかったからやられちゃったじゃない!』 『そんなの俺のせいじゃないだろ!ディアだって押せたし!』 『うるさーい!もう、ガルバトロス様にどう言えばいいのよ!?』 『俺だって聞きたいよ!!』 ぎゃーぎゃー騒ぎながらも、2つのカプセルはあっと言う間に見えなくなった。逃げ足だけは速いんだ。 バーンビートX達は、この時ばかりは敵ながらもついつい感心してしまう。 backnext |