バーンビート
1
インドでガーディアン、ガルーダの復活とバーンビートとの合体、バーンビートX。
ガルバトロスの野望を打ち砕こうとする宇宙防衛機構の勢いは、止まる事をしらずどんどん加速していく。
このまま一気にガルバトロスを叩くぞ!
「ガルーダ。ビッグバン発生装置は一体どこにあるんだ?」
『知ラナイ』
さらっと答えたガルーダに、バーンビート達は出鼻をくじかれた。
石板の文字は解読できたが、ビッグバン発生装置の隠し場所についてはキーストーンを全て集めた時に解るとだけあって、正確な場所は記されていない。今のところ、見つけたキーストーンはバーンビート達が所持しているし、ガルバトロス達が他のキーストーンを見つけた様子もないが、装置の場所を知っておいて損はない。
だからガルーダに装置の場所を尋ねたのだが、返ってきた答えがさっきの一言だ。
自分が守るものを知らないガーディアンって、どうなんだ?
これにはトウヤも、ツッコミを入れる気力もなくただ呆れてしまう。
バーンビート達がそんな事を思っているなんて、これっぽっちも気付いていないガルーダは、石板を熱心に見つめている。
その様子は懐かしんでいるように見えて、ああ、そうだ。とトウヤは思った。
基地内のものは、当然だが全てバーンビート達の技術によるもので、何億年も前に封印されたガルーダにとっては、文明の違いを感じさせるものばかり。通信機ひとつにしても、ガルーダの時代のものとは全く違う筈だ。
その中で唯一、ガルーダの時代を思い出させるのがこの石板なのだ。
「なぁ、ガルーダ」
プテロンの肩に座っていたトウヤは、立ち上がると「せーの」とガルーダの肩に飛び移った。危ない移動方法だが、トウヤには慣れたもの。シェリフが止める間もなくガルーダの肩に着地して、羽のパーツを背もたれ代わりに座りこむ。
「ガルーダの時代ってどんな感じだったんだ?」
ガルーダは自分の肩に座ったトウヤを見て『解ラナイ』と答えた。抑揚のない声だったが、寂しさの色が見えた。
『作ラレテ直グニ封印サレタ』
「ふーん。じゃあ何も覚えていないんだな」
頭の後ろで手を組みながらトウヤが言うと、ガルーダは『1ツだけ』と答えた。
『キーストーンノ隠シ場所、1ツダケ知ッテル』
「え?マジ?バーンビート!ガルーダがキーストーンの隠し場所1つだけ解るって!」
振り返って呼ぶと、モニターを見上げてファイターズとビッグバン発生装置とキーストーンの隠し場所について話し合っていたバーンビートが驚きの声をあげた。キーストーンの古代文字を読んでいたスカイヤーズも顔をあげる。
『本当か?ガルーダ、それはいったいどこなんだ?』
『キーストーンハ、絶対ニ見ツカッテハイケナイ。ダカラ誰ニモ見ツカラナイ場所、誰モ近ヅカナイ場所ニアル』
「誰も近づかない場所か…」
隠す場所としては当然なのだか、なんとも曖昧な表現で、誰も近づかない場所といったらどこだろう?と一斉に考えだしたバーンビート達と一緒にトウヤも考えた。
皆が一斉に頭を抱えているのを見て、ガルーダも他にヒントになるものはないかと自分の記憶メモリーを探す。何億年も昔の記憶だが、起動して直ぐに封印されただけに探す量も少ない。それはすぐに見つかった。
『氷ノ中、ソコナラ誰モ近ヅカナイ』
『そうか南極か!』
ガルーダのヒントで場所を思いついたバーンビートが叫ぶと、すぐにシェリフがモニターに南極の映像を写した。この映像は某国の人工衛星から無断で拝借したものだが、誰も気づけなければ文句も言われようがないだろう。
氷と雪に覆われた世界に、ガルーダは小さく頷いた。
『キット、ココニアル』
『よし、早速出発しよう。もしキーストーンが活性化したらガルバトロス達に気付かれてしまう』
頷くファイターズ。対照的に『ちょっと待った!』と授業中の生徒よろしく手を挙げたのはスカイヤーズだ。
『寒い場所なら北極もそうじゃない?』
そういうや否や、プテロンは北極の映像を写した。こちらも南極同様、氷の世界が続いている。
2つの映像を見比べて、確かにプテロンの言う事も一理あるのかとバーンビートが考え直していると、エアホイルが後押しをする。
『僕とプテロンで北極を探すから、バーンビート達は南極を探したら?そっちの方が効率いいでしょ?』
「だったら俺も北極に行きたい!」
びしっと垂直に立てられたトウヤの手も模範的で、ガルーダの肩の上で立ち上がって、バーンビートに直接頼みこむ。トウヤの参加希望にバーンビートも考えだした。
キーストーンの捜索は決して遊びなんかではなく、常に危険と隣り合わせ。ガルバトロス達が現れたら、戦いになるのは必死でますます危険性は高まる。
しかし、ジャングルの時のように、キーストーンの在りかによってはトウヤの助けが必要になるのも事実。
どうしたものか、と悩むバーンビートをトウヤは固唾をのんで見つめている。プテロンとエアホイルもバーンビートの結論を、今か今かと待ち望んでいる。
そしてようやく結論がでた。
『トウヤもプテロンとエアホイルと一緒に北極に飛んでくれ』
「そうこなくっちゃ!」
パン、と手のひらで拳を受け止めたトウヤは、早速、差し出されたプテロンの手に飛び移った。トウヤを掴んだまま器用に変形したプテロンは、先に変形していたエアホイルと翼を並べると北極目指して基地から飛び出そうとエンジンの出力を上げる。
コックピットに座ったトウヤは、エンジンの低い唸り声を聞きながらシートベルトを締めていると、隣にガルーダを見た。
鳥形態に変形したガルーダは、トウヤと目が合うと嘴をカチカチと鳴らした。エンジン音でよく聞こえなかったが、恐らくガルーダも一緒に行くと言ったのだろう。
『トウヤ、北極は寒いのでスーツに着替えてください』
「解ってるって」
レスキューに言われて、ブレスのスイッチを押した。ブゥンと小さな音がした次の瞬間には、トウヤの服は赤いスーツに変っていた。
ジャングルで使った時とはまた違うデザインで、背中にあった謎の生物も消えていた。改良した都合でつけられなかったんだとレスキューは悔しそうに言っていたが、トウヤにとっては願ってもないことでこっそり両手を挙げて喜んでいた。やっぱりあのマークはダサい。
「それじゃ北極目指して出発だ!」
トウヤの掛け声で、プテロンとエアホイルは同時に発進した。続いてガルーダも羽ばたき、基地から飛び出す。
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