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バーンビート
4




『負けるわけにはいかない!』


立ちあがったバーンビートは、バーニングソードにエネルギーを注ぐ。赤く、熱を帯びていく刀身を見て、バーンビートが勝負にでるのを察知したシェリフは、レスキューとファイヤー、スカイヤーズに合図を送る。

即座に理解した3人は、それぞれの方向に飛び、シェリフも動く。
急に慌ただしく動き出したシェリフ達を見て、ガーディーが鼻で笑った。


『ハッ、今更何のまねだ』


他の連中も似たような反応で、4人の動きを目で追いかける。散った4人は攻撃するでもなく、一定の距離を保ちながら高速で動きまわるだけだ。
一体、何の意味があってこんなことを。


「ちょ、ちょっと待てよ!?」


アブロの顔が引きつった。シェリフ達の動きに気を取られて気付かなかったが、いつの間にか、自分達は一カ所に集められている。
今、ここに攻撃をされれば一発で勝負がついてしまう。しかし逃げようにも、シェリフ達が周りにいる為に逃げられない。檻に入れられたも同然だ。


『くそっ!嵌められた!』
『今頃気づいても遅いよ!』


苦々しく叫ぶゴンドルに、スカイヤーズが意気揚々と叫ぶ。
そして。


『バーニングソード!!』


バーニングソードがディアとアブロのロボットを切り裂き、幹部連中を巻き込んで爆発する。
爆煙の中、脱出カプセルを2機連れて幹部連中が飛び出すのを確認できた。致命的なダメージは与えられなかったようだが、それでも堪えている筈。

逃げ去る敵を睨んでいると「バーンビート!」と声が聞こえた。
振り返ると、得意げな顔でトウヤが自分達を見上げている。


『トウヤ。よかった無事だったのか』
「まぁね。いやー、映画みたいなことって本当にあるんだな」


ケラケラと笑うトウヤは、残り2秒で機能停止した爆弾と、ちぎれたコードをみせた。力なく垂れ下がったコードは、青でも赤でもなく緑、黄色、オレンジ、ピンク、白、黒、金、銀でもない灰色。

灰色?

コードの色に、レスキューは首を傾げた。
灰色なんてさっきの通信で聞いた中には無かったのにどうして。
あまりにもレスキューがコードを凝視しているものだから、トウヤも視線に気づいて「実は」と話す。


「10本のコードに隠れて、この灰色があったんだ。だからこれだ!ってちぎったら見事に正解したんだ」
『すっごーい!やるじゃんトウヤ!』
『かっこいいー!』
「サンキュー。プテロン、エアホイル。俺だってやる時はやるんだぜ」
『大した度胸じゃねぇか。チビ』
「俺はチビじゃない!つーか、ファイヤー達と比べるなよ!」
『おっと悪かったな。チビ』
「また言った!!」


ムキになって怒るトウヤ。
それをファイヤーが大笑いして、トウヤがさらに怒って、またファイヤーが笑っての無限ループ。ぎゃいぎゃい騒いでいるおかげで皆の意識が、自分達に向いていないのを確認したシェリフは、バーンビートにそっと近寄った。


『バーンビート』
『どうしたシェリフ』
『ギーグルが言ったことを覚えているか?アイツはこれを“伝説の石板”だと言っていた。伝説というのはまさか…』


そこまで言って言葉を詰まらせたシェリフに、バーンビートは肯定の意味を含めて静かに頷いた。


『かもしれない。とにかくこれを掘り出して基地に運ぼう』
『解った。――皆、石板を掘り起こすぞ』


わいわい話が盛り上がっているファイヤー達に言うと、途端にあがる文句の声。


『マジかよ』
『えー、戦いで疲れているのに』
『ちょっと休憩しようよ』


ファイヤー、プテロン、エアホイルからやる気のない声が次々にあがるのを見て、バーンビートは「あーあ」と内心呟く。
そんなに文句を言っていると、そのうちシェリフが切れて――ほら、言わんこっちゃない。

予想より早かった展開に、バーンビートからは溜息が洩れた。
文句の山を聞きあきて、シェルショットを構えるシェリフ。
標準を合わせる彼の目は冗談や脅しではなく本気で、その威力を常日頃から十分に味わっているファイヤーは口を真一文字につぐむ。
プテロンとエアホイルも、冗談じゃない悲鳴をあげると同時に、両手を上にあげた。
正義の味方にあるまじき実力行使に、トウヤは「やれやれ」と首を振り、レスキューはそんなトウヤの様子に苦笑する――実はレスキューも、トウヤと同じ気持ちなのかもしれないけど。
これもパターンになってきたなぁ、と感慨にふけってしまうバーンビートだが、ともあれ、ようやく発掘作業が始まる。

シェリフの指示の下、仲間達がそれぞれの配置についていくのを見て、バーンビートは考えを巡らせる。

ガルバトロスの最終目標は、この全宇宙を支配する事。
しかし、その目的は途方もなく大きいもので、そう簡単にできるものではない。ガルバトロスがキーストーンを集めているのと、宇宙征服の間に何かがある筈。

その何かの正体は、この石板の発見が大きなヒントとなった。いや、もしかしたら答えなのかもしれない。


『(しかし本当にそんなことができるのだろうか)』


解らない。

とにかく今は一刻も早く、キーストーンの文字を解読しなくては。
その為には石板を掘り出さないといけなくて、背中につきつけられたシェルショットに両手を上げた。





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あきゅろす。
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