バーンビート
3
トウヤが見かけたアメジスト色のロボットは、遺物の前に機械をセットすると、どこかへ飛んで行った。ロボットの姿が完全に見えなくなるのと、トウヤは茂みからでてきて、今のロボットがセットしたものをまじまじと見て、飛びのいた。
「これって爆弾!?」
マジかよ…と呟くトウヤだが、機械、デジタル表記、カウントダウンとくれば時限爆弾しかない。
トウヤは知らなかったが、バーンビートの仲間だと思っていたアメジスト色のロボットこそ、敵軍幹部の一人、ガースだったのだ。
なんとなく雰囲気がおかしかったから、隠れていたんだけど、隠れていてよかった。胸を撫で下ろしたトウヤは、バーンビートに通信を入れたところで今に至る。
「そいつはいいこと聞いたぜ!これを壊したいってことは、ガルバトロスにとってマズイ事が書かれているってことだろ?だったらこの爆弾を俺が解体して、石板を守ってやる!」
『危険だトウヤ!』
「他に方法があるのかよ!」
間髪いれずに返すトウヤに、バーンビートは言葉を失った。
敵と戦っている以上、この場から離れることは不可能。かといって、爆弾を解除しなければ、爆破。石板は失われる。
どうすればいい。
バーンビートが決めかねていると、レスキューが叫んだ。
『バーンビート!私がトウヤをサポートします!そうすれば成功率はぐっと高くなる!』
レスキューの言う事は正しい。爆弾の分析、解体はレスキューの得意分野だから彼の言うとおりに解体していけば、高い確率で爆弾の解除は成功する。
ギーグルの攻撃を避けると同時に、バーンビートは決断を下した。
『このままでは奴等の思うつぼ。それなら頼んだぞ。レスキュー、トウヤ!』
「『了解!』」
『シェリフ!レスキューがトウヤに指示を出す間、援護を頼む!』
『解った!』
シェリフは、レスキューとガーディーの間に飛び込むと、続けざまにシェルショットを放った。即座に、後方へ大きく跳んで距離をとるガーディーだが、それでいい。レスキューがトウヤに指示を出す邪魔をさせないのが第一なのだから。
シェリフの援護を受けて、レスキューはトウヤに解体の指示をする。
『次に、4本コードが並んでいる筈です。ええ、さっきの部分から出ているコード、そのうち1本だけが別のところに繋がっているので、それを先に切って、あとの3本も切れば爆弾の機能は停止します』
「OK、これをこうして、っと…だめだ!爆弾が止まらない!それにコードはまだ残ってる!」
『まだ残っている!?』
そんな!レスキューは叫ばずにいられない。
トウヤから聞いた爆弾なら、この手順で解除できる筈だ。
『まだコードが残っている!?どういうことだトウヤ!』
『お喋りしている暇はねーぜ!』
『うわああっ!!』
ギーグルのミサイルを受けたバーンビートは、仲間の助けを受ける間もなく地面に落ちた。衝撃で翼が破損してしまい、飛行能力が失われる。
だが、ここで。
『負けるわけにはいかない!』
「……」
さて困った。
折角ここまで順著にきたのに、最後の最後にとてつもない難関が待ち構えているなんて。
爆弾の解体といえば、最後には青と赤のコードが残って、どちらかが本物どちらかがダミー。ダミーを切ったら最後、即爆発というのが映画やテレビでよく見るパターンだ。
しかし現実はそう甘くない。
「多すぎだろ…」
残ったコードの数に絶句。青と赤だけでなく、緑に黄色、オレンジ、ピンク、白、黒、金、銀の合計10本。
なんだよこれ。確立10分の1とかマジありえねーから。
ここにいないガースに文句を言う間も、カウントダウンは進む。
気がつけば残りは49秒。
「あー、あー、レスキュー聞こえる?最後のコードだけど、青赤緑黄色オレンジピンク白黒金銀の10本もあるんだ。今すぐこっちに来るとかできないかな?」
『すみま、せ、んっ!無理、です!』
ですよねー。
切羽詰まった声に、がくりと項垂れる。きっと敵の攻撃を必死に耐えているんだろう。
他の皆も大体そんな感じで、1番ヤバそうなのはファイヤーかな。なんか挟み打ちにされているっぽいし、と考えている間にもやっぱりカウントダウンは進んでいる。残り18秒。
こうなったら自分を信じるしかないか。
覚悟を決めるとコードを手にとった。
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