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バーンビート
2


空を見上げるシェリフにバーンビートとトウヤも、他の皆も空を見る。無限に広がる空は、雲ひとつなく晴れ渡っているのだが、ある方向に気になるものを見つけた。

こっちに来る。

バーンビートは視覚センサーの感度を上げてそれが何か見極めると同時に、厳しい顔つきになった。

あれはガルバトロスの幹部達だ。

翼に似たパーツを広げているのはゴンドル。続いてギーグルとガーディー。ギーグルとガーディーには飛行能力が無かった筈だが、背中には明らかに付け加えられたパーツがあるので、どうやらあれで飛んでいるらしい。そしていつものごとく、操縦型のロボットに乗っているディアとアブロ。

バーンビートはアーマー化してバーニングソードを構える。
最初に見つけたシェリフも、シェルショットを構えて、ファイヤーもガドリング砲をレスキューも両手をブレードに変えて武器を。
プテロンとエアホイルもいつでも出撃できるよう構えて、それぞれが戦闘態勢にはいった。


「どうしたんだバーンビート」


人間の視力では空に何があるのか解りようがない。
加えて、無言のまま戦闘態勢を整えた彼等に、トウヤは完全についていけない。バーンビートを見上げると、バーンビートは敵から目を離さずに答えた。


『ガルバトロスの部下がこっちにやってくる。恐らく、トウヤが見つけた古代文字を探しにきたのだろう』
「ええ!?」
『ここは危険だ。トウヤ、早く逃げろ』
「解った。バーンビート、皆!頑張れよ!」


プテロンとエアホイルが声を揃えて『任せてよ』と言う。シェリフは無言で頷く。ファイヤーが『当たり前だ』と軽口をたたく。レスキューは『さあ、早く』と急がせた。
頷いたトウヤは、踵を返して走り出した。

本当はバーンビート達と一緒にいたかったけど、所詮人間、それも子供の自分がいて何になる。逃げるだけで何もできない自分が歯がゆかったが、仕方ないんだと何度も言い聞かせながら走る。
バーンビート達が勝つ事を信じて――


「――ん?」


逃げる最中、ふと視界に入ったもの。それはアメジスト色のロボットで、古代文字が刻まれた遺物の前にいた。

ひょっとして、バーンビートの仲間?








金属と金属がぶつかる音、刃がぶつかる音、爆音。発掘現場に不釣り合いな音は止まる事を知らない。

空では、合体したスカイヤーズがゴンドルと激しい空中戦を繰り広げ、地上ではアーマー化したバーンビートがギーグルと戦い、レスキューはガーディーと、シェリフとファイターは協力してディアとアブロと戦っていた。


『くらえ!』


ギーグルのブラスターが火を噴く。バーニングソードを構えたバーンビートは、自分に突き進む弾丸を見据えて、真っ二つに切り裂いた。切り裂かれた弾丸は、バーンビートの脇を通り抜けて爆発。
その爆風を背中に受けながら、バーンビートは『何かおかしい』と感じ始めていた。

戦況はバーンビート達の方が押している。

ゴンドルは、スカイヤーズのウィングカッターから逃げるように飛んでいるし、ガーディーはレスキューのブレードを避けるのに精いっぱいなようで、反撃のチャンスはない。
ディアとアブロに至ってもそうだ。
シェリフとファイヤーのタッグに、成す術もなく防御一徹。
自分達が有利だ。それなのに。


『くそっ!なんて分厚い装甲だ!』


なかなか破損しない装甲に、ファイヤーが悪態をつく。ファイヤーがいくらガドリング砲を打ちならしても、ディアとアブロのロボットはびくともしないのだ。防御に特化したロボットなのだろうが、これではバランスが悪くて攻撃力やスピードがガタ落ちしてしまうのでは。


『――っ、まさか!』


バーンビートがハッと息をのめば『ようやく気付いたか』と言わんばかりに幹部連中がニヤリと笑い、それを皮切りに反撃が始まった。


『うわーっ!!』
『スカイヤーズ!』


ゴンドルのミサイルがスカイヤーズを直撃。バランスを崩したスカイヤーズはみるみる間に落下するも、飛び出したバーンビートが受け止めたおかげで地面との衝突は免れた。


『っ!?どういうことだ!?』


ブレードでナイフクローを受けながら、レスキューは叫んだ。
ナイフクローで切りかかってくるガーディーは、さっきまでと全然違う。少しでも気を緩めればナイフクローの餌食になるのは確実、レスキューは防戦一方を強いられて立場が逆転してしまった。

ディアとアブロのロボットに挟まれたシェリフとファイヤー。逃げ場を失った2人は、避けてディアとアブロの相打ちを図ったが、ここでも分厚い装甲が立ちはだかる。お互いのミサイルが直撃したのに、ダメージは0に等しいのだ。


『おいシェリフ!どうするんだよ!?』
『俺だって考えている!くそっ、さっきまでは攻撃の意思すらみせてなかったのに!』


ミサイルをかわしながらシェリフは、今の状況を分析する。かわすのと考えるのを同時に行うのは、とても面倒なのだが文句は言っていられない。
そして出た答えに、苦い顔をするのだ。


『バーンビート!こいつらの狙いは!』
『ああ、そうだ!恐らく、我々をここに足止めするのが目的だ!』


なんだって!?

仲間から驚きの声があがるのと、敵連中が『そのとおりだ』と笑うのは同時だった。


『お前達が見つけた遺跡は、実は伝説の石板だ。じきに、ガースがセットした爆弾で木端微塵になるぜ』


敵の作戦にやすやすとかかってしまっただけでも腹ただしいのに、得意げに笑うギーグルに、バーンビート達の腹ただしさは増すばかり。
キーストーンの解読には石板がどうしても必要だ。それなのに、このまま破壊されてしまうのか――


「そいつはいいこと聞いたぜ!」



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あきゅろす。
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