バーンビート
3
ツルや太い根に躓いても、トウヤの足は止まらない。キーストーンの反応はますます強くなっている。この先で間違いない。
生い茂る草木をかきわけて、ようやく出た先、そこはセノーテの場所だった。予想外の泉に、トウヤの目は丸くなる。
更に驚く事に、キーストーンの反応は目の前のセノーテからするのだ。ひょっとしてこの中にキーストーンが沈んでいる?
そんなまさかと否定したものの、ブレスの反応からして考えられるのはそれだけだ。トウヤは恐る恐る近づくと、セノーテを覗き込んだ。
石灰岩によりろ過された水は、とても透明度が高く、泳いでいる魚も、それよりずっと下の水底までもがはっきり見えるので、とても水中とは思えない。まるで空を見下ろしているような感覚だ。
「きれいだな…」
何万年もの時が作り出した泉、セノーテは大昔の鍾乳洞に石灰岩から染み出した水が溜まって、やがて天井部分が崩れたことで地上に顔をみせる。透き通った世界に、トウヤが感動している横で。
ボチャン、ボチャン。
「……」
情緒もへったくれもない水音に、トウヤの感動も一気に吹き飛び現実に引き戻された。ディアとアブロがセノーテに飛び込んだのだ。
全くあの2人は!
「つーか、あれキーストーンじゃないか!?」
誰にともなく叫ぶと、もう1度セノーテを覗きこむ。水面からずっと奥、水底に光る黄色の結晶。間違いない、あれはキーストーンだ。
ディアとアブロはまだ気づいていないのか、きょろきょろと辺りを見渡している。だったら今がチャンス。2人が気づいていないうちに、さっさと回収してしまおう。
トウヤはポケットから酸素ボンベを取り出して口に加えると、水中に飛び込んだ。
ボアキングは尚もエアホイルを放そうとしない。絞め続けられて、エアホイルにも限界が近づいてくる。
『手荒だが仕方ない。エアホイル、ちょっと我慢してくれ!』
バーンビートはボアキングと離れた。
バーンビートの左手が引っ込むと、代わりに砲身が現れた。それをボアキングに向けて、一気に撃ち込んだ。
『キシャ――!!』
痛みにのたうちボアキングの拘束が緩んだ。その隙にエアホイルは見事脱出に成功。バーンビートとプテロンの間に立った。
『大丈夫か!?エアホイル!』
『ああ、大丈夫。助かったよバーンビート』
バーンビートの攻撃に怒ったボアキングが、鎌首をもたげて威嚇する。鋭くとがった牙をこれでもかと見せつけているが、こっちだってやられてばかりじゃいられない。
『行くぞエアホイル!』
『OK、プテロン!』
『『チェンジアップ!!』』
高く飛び上がった2体。プテロンの頭部が収納されると、手足を折りたたみ、新たな左半身に変化する。続くエアホイルも、同じく頭部を収納後、手足を折りたたんで右半身に。そしてドッキングした2体の胸には大きなパネルがつけられ、最後に頭部を現して――
『スカイヤーズ!!』
合体したスカイヤーズは、着地するとボアキングと睨みあう。
スカイヤーズ。
ボアキング。
どちらが先に動くのか。
スカイヤーズだ!
『ウィングカッター!』
スカイヤーズが投げたブーメランは、弧を描いてボアキングの牙を切り落とした。最大の武器を破壊されて、ボアキングは怒り狂う。
『スカイヤーズ!あとは任せろ!』
バーニングソードを握り締めて、バーンビートは狙いを定める。ボアキングは、バーンビートを絞めつけようと襲いかかったが、バーンビートはそれをかわして赤く輝いた刀身を振りかざした。
『バーニングソード!!』
バーニングソードはボアキングの体を真っ二つに裂いていき、尻尾まで完全に切られると、爆発した。爆風の中、バーンビートは二度三度とバーニングソードを振って収めた。
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