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バーンビート
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「――って、訳なんだけど。どう思う?」


カズヤ達と別れたあと、トウヤはバーンビートを呼び出して、さっき見たニュースを話した。話を聞いたバーンビートは、考えこんでいるのかさっきからメーターが小刻みに揺れている。


『UFO、Unidentified Flying Object。未確認飛行物体の略称か。確かにガルバトロス達の可能性はある。調べてみる必要がありそうだ』
「それじゃ!」
『ああ。行ってみよう。ファイターズ、聞こえるか?』
「ファイターズ?」


初めて聞く言葉に、トウヤが首を傾げていると、通信機からバーンビートではない声が聞こえてきた。プテロンとエアホイルでもない。


『しっかりと。我々も現地に向かいます』
『あちらで合流しましょう』
『じゃあな、バーンビート』


声での第一印象を上げるなら、1人目は真面目、2人目は優しさ、3人目はちょっと乱暴そうな感じがする。ファイターズと呼ばれた彼等も、やはりバーンビートの仲間だろうか。


「仲間ってプテロンとエアホイルだけじゃなかったのか?」
『そうだ。スカイヤーズの他にファイターズという3人の仲間がいる』


ふーん、と納得するトウヤ。ファイターズもバーンビートとスカイヤーズのように、機械と融合しているのだろう。だとすれば、彼らが何の機械と融合しているのか、楽しみだ。

ファイターズっていうくらいだから、やっぱり戦闘関係の機械だよな。
軍用車、戦車、戦闘機、軍事ヘリ…。
きっとミサイルやガドリング砲なんかで武装していて、かっこいいんだろうなぁ。

頭に描いたファイターズにうっとりしていると、バーンビートが急に声をかけた。


『トウヤ、少し揺れるぞ』
「え?っぎゃー!!!?」


見れば下は海。なんとバーンビートはガードレールを突き破って、海上に飛び出していた。

落ちる!

海水につかるのを覚悟したトウヤだったが、バーンビートが海面に到達する前に、ファイヤーウイングにドッキングしたのでそれは免れた。ドッキングの衝撃で座席からずり落ちてしまったが、海につかるよりはよっぽどいい。


『このまま北海道まで飛ぶ』
「お、おう…流石に海の上は走れねーもんな」


ははは、と随分引きつった顔で笑うトウヤは、心の中では全然、少しの揺れじゃねーし!思いっきり揺れたぞ!と叫んでいた。
そんなトウヤの心の叫びは露知らず、バーンビートは北海道へ突き進む。







ファイヤーウイングによる快適な旅を満喫して、トウヤとバーンビートは北海道に到着した。
春とはいえ、北海道はまだ寒い。もうちょっと厚着をすればよかったな、と後悔しつつバーンビートを振りかえった。


「バーンビート。これからどうするんだ?」
『UFOの目撃例を分析した結果、ある場所から出現しているのが解った。そこへ行こう』
「おう!」


それじゃあ、早速。とバーンビートに乗り込もうとしたトウヤだが、向こうからやってくるパトカー、救急車、消防車を見て「げっ」と声を上げる。

ファイヤーウイングでの飛行が見つかったか。
これは面倒な事になった。どうやってこの状況を説明すればいいんだ。

なんとか上手い誤魔化し方法はないかと考えるも、ジェット機と派手なスポーツカーを隠し通せるわけがない。って言うか、バーンビートも大人達に見つかりたくないとか何とか言ってたくせに、こんな堂々と着陸するなよな!

そうこうしているうちにパトカー達が止まった。背中に嫌な汗が流れているのを感じるが、誤魔化す方法なんて見つからない。

ああ、こうなりゃどうにでもなれ!


『君、随分顔色が悪いようですが、どこか具合でも?』


その言葉にトウヤは「え?」と目を丸くした。
今、救急車が喋った?


『よう、バーンビート。コイツがお前の言ってた地球人の子供か?』


シュルシュルと伸びる消火ホースはトウヤの頭上でとまり、ちょうど人が指で示す動作に似ている。
小馬鹿にするような物言いにムッとしたトウヤだが、救急車と消防車が話しだしたことと、自分をつつきだした消防ホースから、イメージとは異なるものの、これがファイターズなのだと理解できた。


『やめろファイヤー』


パトカーが咎めると消防車、ファイヤーは『軽い冗談だよ』とホースをひっこめたが、その言葉から悪びれる様子は全く伺えない。


『トウヤ、紹介しよう。この3人がファイターズだ』


バーンビートが言うと、パトカーが進み出た。どうやら、ファイターズのリーダーは彼らしい。


『初めまして。俺はシェリフといいます』


と、パトカー。


『私の名前はレスキューです。よろしく』


続いて、救急車。


『俺はファイヤーだ』


最後に消防車が言って、自己紹介が終わった。


「俺は赤井トウヤ。よろしくな」


本当なら、ロボットに変形した彼等も見たいところだが、それはまたあとで。今は、あのUFOが先決だ。
スポーツカーを先頭に、パトカー、救急車、消防車と、傍から見れば奇妙な光景で、一行はUFO出現ポイントへ向かった。




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あきゅろす。
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