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バーンビート
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遺跡発掘が話題となった旭町だが、今は別の話題で町中がわいている。先日、旭町に現れた巨大ロボットだ。

あの日以来、ニュース番組ではあのロボット達の正体は何だと騒がれていて、この事態を重くみた政府は旭町に防衛軍を送り込んだ。またいつあのロボットが現れるとも限らない。市民の安全を守るのが、防衛軍の使命である。


「――と、いうニュースを皆さんも聞いたと思います」


担任の柊はそういって生徒達を見渡した。
誰も喋る気配はなく、柊は咳払いを1つして続ける。


「要は、防衛軍がこの町をパトロールしているので、何かあったら軍の制服を着た人達に連絡、もしくはその人達の指示に従ってくださいってことです」
「先生、あのロボットは何なんですか?」


カズキが挙手して尋ねるが、柊は首を横に振るだけで、どうやら彼にも解っていないらしい。ニュースでもあのロボットの正体は不明だとしていたから当然だ。

きっと、あのロボット達の正体を知っているのは自分だけだ、とトウヤは通信機を見た。


「解らない。だが、町を破壊した以上、敵とみなすのが当然だろうな。今後、外出する時は気をつけるように。以上!」


授業始めるぞー、と言う声で、教室はいつもと同じ風景に戻っていく。教科書を出して、柊先生が黒板に書くことをノートに写して。
いつもと同じ、普通の授業風景だ。








『こういうのを嵐の前の静けさっていうのかねぇ』
『かもしれないな』


街を走る1台のスポーツカー。炎をそのまま色にしたような赤、バーンビートだ。
仲間との通信をしながら、彼はガルバトロスの手掛かりを探している真っ最中。だが、残念なことに、さっきから見かけるのは重々しい空気をまとった軍の人間だけで、手掛かりになりそうなものはなにもない。


『キーストーンと呼ばれる結晶、あの文字は解読できそうか?』
『まだ時間がかかりそうだ。なにせ何億年も前に使われていたものだからな』
『解った。そのまま解読を続けてくれ』


了解――と返事がくると、バーンビートはエンジンを吹かせた。






軍の車が走っている光景は、いつもとは違ってどこか重苦しいし、街頭を歩く人も少ない。平和しかなかったこの町に、いきなり軍人が来たのだから、皆、家に閉じこもっているのだ。

それでも子供達だけは元気で、学校帰りの通学路をワイワイ喋りながら歩いている。
トウヤもカズキとアヤメ、ソウタと話をしながら歩いていて、その話題はやはり、突如出現した謎のロボット。

カズキがニュースで大人達がいろいろ話していた仮説や推理を言うと、それにソウタが自分の意見を交えながら反論する。2人の話を聞くアヤメは、相槌を打つ。

大人もソウタも随分いろんな事を言っているところ悪いが、真実を知っているトウヤは、それが全部ハズレなのを知っている。だけど言っちゃだめだ。バーンビートと約束したのだから。


「ねぇ。トウヤ君、やけに静かじゃない?」
「ええっ!?」


突然のアヤメの言葉に、思わず声が裏返った。それを聞いてカズキとソウタもトウヤに目を向ける。


「いつもはもっと喋っているのに、今日は全然じゃない。どうかしたの?」


いつものトウヤなら、カズキと一緒に喋って、ソウタの反論を聞いているのに、今日は全く喋っていない。これはおかしい、とアヤメに心配と疑いの入り混じった顔をされる。
これはマズイ。なんとか誤魔化さないと。


「え、えーっと…ほら、これだよ!このニュース見てたからさ!」


ほら、とトウヤが指を指した先には、電化製品店のテレビ。ちょうどやっていたニュースに、3人は画面を覗き込んだ。


『全国各地でUFO目撃情報が相次いでいます。中でも、北海道で目撃された数は群を抜いていて、これは昨日、旭町に現れたロボット達と何か関係があるのでしょうか。この事態に政府も――』
「これは気になりますね」


興味を示したのか、メガネをあげるソウタ。

カズキとアヤメも、このニュースに関心をもったらしく見入っている。
トウヤはホッとした。話題の矛先が自分からそらす為に、デタラメを言ったのだが、成功したらしい。


「(だけど…)」


ちらり、とテレビに目を向けるトウヤ。
全国各地で目撃されたUFO。
これはもしかすると、ガルバトロス達ではないだろうか?




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あきゅろす。
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