居酒屋で恋して
居酒屋で恋して 17
自分の気持ちに確信が持てなくて、恐る恐る颯人さんを見上げたら、その切なそうな瞳に胸がキュンって高鳴った。
「チィ・・・」
囁くように名前を呼ばれて、また僕の唇にキスをしてくれる。
「アァ・・・」
キスってこんなにも気持ちが良いものなんだ。
颯人さんの舌が僕の歯列をなぞってきたり舌を絡められると、もう僕は何も考えられずになって、ただただ颯人さんにされるがままになって颯人さんにすがり付いていた。
しばらくして充分に口付けを味わった後、唇を放してくれた颯人さんは、僕の耳たぶを舐めてから鼓膜を震わせてこう言った。
「チィ、今日を初めての日にしてもいいか?」
「・・・ッ!」
初めて!?
颯人さんと初めての日にする?
それは、それは・・・そういうことなんだよね。
つまり、颯人さんとの初Hを今日!
今からするってことなんだ!
そう理解した途端、僕は身体が宙に浮いたような気分になり、頭のてっぺんから足の爪先まで熱くなり、心臓がウルサイぐらいに爆音を鳴り響かせた。
「は、は、颯人・・・颯人さん・・・///」
多分、いや絶対に恥ずかしいぐらい真っ赤になっていただろう僕の顔を、颯人さんに向かって真っ直ぐ向ける。
向けた途端、僕は颯人さんの顔を見て涙が溢れてきた。
だって。
だって颯人さんのあまりにも優しい瞳が僕を見つめてくれていたから。
しばらくそうやって見つめあっていると颯人さんが困ったように眉をハの字にさせた。
「ちぃ、悪かった。俺、焦りすぎだよな・・・今日はもう、うっ」
僕は颯人さんに最後まで話させずに唇で、颯人さんの唇を塞いだ。
だってきっと抱くのを止めようって考えてるんだもん。
せっかくその気になってる僕と、颯人さんだってそう思ってるはずなんだから、このチャンスを逃したなくないよ。
だから唇を離すと僕は颯人さんの目をしっかり見て決意を伝えた。
「颯人さん、僕を抱いてください」
言ってて物すごく恥ずかしかったけど、颯人さんにはちゃんと僕の気持ちを知ってほしかったから正直に言った。
「ゥ・・・」
颯人さんが息を呑むのが分かった。
僕の発言にびっくりしたのか、瞳孔が大きく広がり頬がほのかに赤く染まってくるのが分かった。
−颯人さん色っぽい。
その表情に見とれながらも言葉を続ける。
「僕、本気だよ」
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