鳳凰の宮学園
鳳凰の入口 1
豊かな自然の中で健全な心を持った若者を育成しよう!
パンフレットを読みながら、バスに揺られること15分。外は昨夜降った雪で一面真っ白だったがバスは安定した走行だった。そんな中で僕は鳳凰の宮学園の事に思いを馳せていた。
3学期からの転校生なんて珍しいだろうからなぁ。友達とか出来るかな?それでなくても地味だし、思った事をしゃべれないから。寮生活もルームメイトが良い人だといいな。
でも!自分で決めたんだ。両親のどちらかとなんて暮らせないから一人で生活するって。
そう告げたら両親はひどく取り乱して、
「それは駄目」
二人はあわててお互いを見て、頷いた。
「私達のどちらかと暮らせないんだったら、取り敢えず寮のあるところに転校なさい。高校生の間は待つから。」
二人は僕が一人で暮らすのが不安だったんだろう。寮生活は予定外だったが一人になることは確かだ。頑張って早く独立出来るようにしよう。両親を安心させなきゃ。
それから間もなくして学園前にバスが停車した。外気に触れた僕の体は寒さで震えた。
僕は一通り荷物を寮に送ったけど、後から持っていくものが増えてきて、手荷物がとてつもなく大きく重いものになってしまった。
「ハァ、重いぃ。」
「えーと、寮の門は何処だろう。」
あっ、あそこかなぁ?
近付いて行くと壁面や門の大きさに感嘆した。表札を見ると。
『鳳凰の宮学園』
と書かれている。良かった、ここだ。
だけど大きな門だなぁ。まるでお城みたい。チャイムは何処だろう?
・・・無い。無いー?ど、どうやって入るんだ?
ん?
あー!そういえば高等部の寮は次の停車だった。さっき見たパンフレットに書いてあったじゃないか。僕のバカ。
はぁ。ここから寮って遠いのかなぁ。仕方ない、歩いて行こう。
僕が歩き始めようとしたら、後ろからとても感じのいい声が聞こえてきた。
「おい。入らないのか?」
振り返って声の主を見ると、今まで見たこともない美形が立っていた。冬の陽射しをいっぱいに浴びて、其所だけ輝いている。
僕が惚けていると美形は苦笑した。
「入ろうぜ。」
僕は反射的に頷いた。わぁ。本当にかっこいい。先輩だろうか?だとしたら嬉しいなぁ。僕は素直にそう思った。
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