鳳凰の宮学園
掲示板 2
僕が白狐のことを話すと、桜木君は楽しそうに聞いてくれていた。
「この学園に狐がいるなんて知らなかったよ。僕も見てみたいな。」
「それなら、明日の朝一緒に見に行こうよ!」
僕は桜木君が興味を持ってくれたことに嬉しくなって、馴れ馴れしいかなとは思ったけど誘ってみた。
「行きたいんだけど、明日は早朝から美化委員の仕事があって、行けないんだ。」
「美化委員?」
「そうなんだ。毎週金曜日の朝と放課後に、全校舎を見て回るんだ。週末がくると業者に清掃を頼むから、問題が起こりそうな物がないか美化委員が点検するんだよ。」
美化委員って忙しいんだな。
でも・・・問題が起こりそうな物って。
咄嗟に久我山の顔が頭に浮かんだ。
タバコとお酒と不純異・・・×、同性交遊。
ルームメートとして、少し注意した方がいいのかなぁ?
久我山のことで頭を悩ませていたら、いつの間にか学園に到着していたようで、桜木君が教えてくれた。
でも何故か笑いだして。
「クスクス。柊木君って面白い。」
「え?」
「急に黙り込んだと思ったら、百面相しだして。見てると楽しかった。」
だんだんと赤面してくるのが分かる。
わ、笑われちゃった。
僕ってそんなに考えてることが表情に出てるのかなぁ。
気を付けなきゃ!
校舎に入って靴を履き替えると、中央のロビーに人だかりが出来ているのが見えた。
「うっわぁ、何だろう?桜木君見に行く?」
僕が問いかけると桜木君は少し眉根を寄せた。
「いや、止めておくよ。柊木君、教室に行こう。」
「う、うん。」
桜木君の様子が一変した。
優しい雰囲気から、よそよそしい態度に。
桜木君どうしたんだろう?
僕、何かしたかな?
急速に気分が落ち込んでいった。
その時、中央ロビーの方から突然僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「あいつが、柊木 領だ!」
僕はビックリしたけど、自分の名前が呼ばれたので振り返った。
そうすると中央ロビーにいた集団が、一斉に僕を見ていた。
・・・見るっていうよりも、睨んでる?
こ、恐い。
睨まれている目が恐くて僕は一歩後ずさった。
そうしたら、その中の生徒の一人が叫んだ。
「あんな地味な子のどこが良いの?」
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