鳳凰の宮学園
寮長 4
魅入るぅ?
寮長のような男前が僕みたいな平凡な顔に??
どうしてだろう?
もしかして、あまりにも平凡過ぎて珍しいとか?
「柊木は不思議な奴だな。取り立てて目立つような所はないのに人を惹き付ける。」
僕は目をパチパチしばたかせた。
人を惹き付けるなんて初めて言われちゃった。
小学校や中学校、前に居た高校でも地味で普通だって、仲が良い友人に言われてたから。
なのに寮長は全く違うことを言う。
「そんなに驚くなよ。まぁ、そんな表情も可愛いらしいけどな。」
男らしい顔が笑顔で満面になり、僕は格好いいなぁって思いつつも、恥ずかしくなった。
「柊木、困った事や分からない事があれば、いつでも相談に乗るから俺を頼って来いよ!。」
「はい、ありがとうございます!」
僕は嬉しくて元気良く返事をした。
そしたら寮長はまたまた笑った。
「元気の良い奴は好きだぜ!」
それから一時間ほど寮長と話をした。
専ら祭りの話題になったけど。
寮長はいろんな所へ出掛けて、祭りを楽しむらしい。
実家でも神輿を担いでいるそうだ。
でも村の祭事は一般客は観れないとの事。
「柊木なら連れてってやりたいが、余所者は駄目なんだ。俺と結婚でもすれば別だけどな♪」
「けっ、結婚〜!?」
寮長はニカッと笑って僕にウインクした。
僕はきっと茹でた蛸のように顔が真っ赤になり、顔から湯気が出ていたに違いない。
冗談だって解ってるのに照れてしまう!
「ハハハ、完熟トマトよりも真っ赤だぞ!柊木、お前はやっぱり可愛いよ!」
も、もう!
寮長の意地悪!
男の僕を可愛いとか冗談でも言うなんて。
言われ慣れてないから、どう切り返していいか解らないじゃないか。
僕は拗ねて口を尖らせた。
「ハハハ、怒った顔も可愛いぜ!」
寮長のバカ!
「おっと、1時間ぐらい喋っちまったな。柊木、コンビニに行くんだったな。悪いな引き止めて。」
「あっ、いえ、ジュースごちそうさまでした。」
僕は立ち上がり、お礼を言った。
「これぐらいならいつでもご馳走してやるよ。」
寮長も立ち上がって玄関まで着いてきてくれた。
部屋から出ようとしたら、寮長が後ろから抱き締めてきた。
えっ?
「柊木の身体、抱き心地良いな。」
ど、どうすれば?
頭がパニックになって状況がつかめない。
固まっていると寮長は僕をパッと離してくれた。
そして爆弾発言をした。
「柊木、俺のこと好きになっても良いからな。」
真剣な眼差しを向けられて僕は何故か、その場から脱兎の如く逃げ出した。
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