鳳凰の宮学園
図書室 3
「神村先輩・・・?」
図書室のカウンターに行ったら、神村先輩は居なかった。
奥の部屋かな?
う〜ん。
どうしよう。
僕は手持ちぶさただったけど、神村先輩に挨拶して帰りたかったので、時間を潰しに他の本棚を見て回った。
「すごいなぁ。こんなに本が置いてあるなんて、まるで図書館みたい。わっ!この本すっごい古そう。」
1番奥の棚に背表紙が今にも崩れてしまいそうな古い本が何冊か置いてあった。
きっと貴重な本なんだろうなぁ。
ちょっとだけ見てもいいかな?
そぉ〜っと手を伸ばしてタイトルを見てみる。
『鳳凰の宮家家系図』
鳳凰の宮・・・。
生徒会長や玄武さんの家の家系図?
確か鳳凰の宮家は平安時代から続いてるってパンフレットに書いてあったから、こんなに何冊もあるんだろうな。
でも何百年続いてるんだろう?
興味が湧いてきたので、手にとって見ようとしたら。
「柊木君、お茶でも飲まない?」
神村先輩が僕をお茶に誘ってくれた。
あっ、良い香り。
紅茶かな?
僕は本のことを忘れて、直ぐさま神村先輩の元に向かった。
「神村先輩、僕の為にお茶の用意をしてくれたんですか?」
「うん。可愛い後輩ができたからね。ご馳走したくなって、紅茶好きかな?」
「はい!大好きです。」
僕は感激のあまりニコニコとしまりのない顔をしていたと思う。
「柊木君、クッキーもあるから食べてね。」
「はい。あっ!この紅茶、もしかしたらセイロンティーですか?」
「そうだよ。柊木君紅茶好きなの?」
「・・・///。き、今日の朝に飲んだばかりだから。」
僕が照れて言うと、神村先輩はふわりと微笑んでくれ。
「フフ。本当に可愛いね柊木君は。好きになってしまいそうだよ。」
ええー?
好きに?
なんだかドギマギする、ただの先輩としての言葉なのに。
嬉しいなぁ♪神村先輩に好かれるなんて。
「そういえば読みたい本は見つかったかい?」
「それが、今は誰かが借りてるみたいで・・・。また次の機会にします。」
「そうだったの。誰の本を借りたかったの?戻る日を調べてあげるよ。」
僕が作者の名前を告げると、神村先輩は静かに席を立ってカウンターに行き、パソコンで調べ始めた。
「・・・この本。」
僕は神村先輩の呟きに、振り返って顔を見つめた。
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