鳳凰の宮学園
図書室 1
授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響き、僕はホッと息を1つ吐いた。
やっと寮に帰れる〜。
今日は何だか疲れちゃったから早く部屋で休みたい。
注目されたことなんてない僕が、みんなから受ける視線はかなり痛い。
寮長が僕をからかって遊んでいるだけなのに、どうしてみんな気にするんだろう?
や、やっぱり男子校だからかな?
寮長と僕が付き合ってるって本気で思ってるんだろうか?
好奇心と、中にはあからさまな敵意というか嫌悪の視線があるから、僕も辛くなってくる。
しかも食堂で、寮長が僕の額にキスなんてするもんだから誤解されてるし。
今度寮長にあったら、はっきりと言おう!
変な噂とかされたら寮長も迷惑だろうし。
「領、今日は放課後どうするんだ?暇ならバスケの見学でも来るか?」
「ううん。今日は真っ直ぐ寮に帰るよ。」
河上君が僕を気にかけてくれてるのが分かって、嬉しくて笑顔になる。
「・・・///。悩殺されたぁ。」
バタン。
河上君はそう言うなり椅子から転げ落ち、床に寝そべった。
「か、河上君?ど、どうしたの?」
僕は慌て河上君を抱き起こそうとしたら、一之瀬君が来て河上君の頬っぺたをペチペチと軽く叩いた。
「ありゃりゃ〜。見てらんねぇなぁ。翔平の奴、領にゾッコンだからなぁ。」
ま、また変なこと言ってるし。
「イテェ!叩いてんじゃねぇよ。良介のアホゥ〜」
2人の掴み合いが始まりそうになった時、山内先生が教室に入って来た。
「全員席に着け。HR始めるぞ。」
河上君と一之瀬君も手を放してからお互い慌て席に着いた。
HRも無事に終わり、僕は寮に帰ろうと廊下を歩いていたら、向こう側から神村先輩がやって来るのが見えた。
神村先輩も僕に気付いてくれたみたいで、フワリと微笑んでくれた。
わぁ。
素敵だなぁ。
僕もあんな素敵な人になりたい!
神村先輩の醸し出す優しさ溢れる雰囲気が、僕は好きなんだ。
「こんにちは。今日はもう帰るの?」
「はい。・・・何だか疲れちゃって。」
「あ、そうだったね。転校してから初めての授業だものね。」
そ、そうです!って言えない。
でも神村先輩は知らないみたいだ、僕と寮長とのこと。
良かったぁ。
神村先輩には変な目で見てほしくないもの。
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