鳳凰の宮学園 suzaku 興味 鳳凰の宮学園高等部 生徒会室 現・生徒会長の私は今、月末に行われる生徒会選挙の為に毎日忙しい日々を送っている。 生徒会長として最後の仕事・・・。 そして高校生活の終わりを示している。 書類を捲っていたら、ふと次期生徒会立候補者のリストが目に入った。 「鳳凰 玄武・・・。」 私とは母親違いの弟。 つい2年まで異母弟がいるとは全く知らなかった私は、玄武とは仲がよろしくない。 いや、あいつが私に対して敵意のような侮蔑のようなものを向けているだけなのだが。 あいつが15歳の時だっただろうか? 最初に父親に紹介された時、あいつの瞳が憎悪で満ちていたのが分かった。 その原因は容易に想像出来たが、敢えて聞こうとも思わなかったし、玄武を弟とは思えなかったからこちらも相手にしなかった。 それ以上に、父親が外に愛人や子供を隠していたことに嫌悪感があった。 「フゥ・・・。」 あれから3年も経つのに未だ父親とも玄武とも、まともに顔を合わせていない。 青龍・・・龍弥とも。 「あいつが1番辛い、か・・・。」 そういえば、珍しく龍弥から頼み事があったな。 確か1年の柊木 領・・・って名前だったか? 書類棚にある学生名簿を取り出し、柊木 領の名前を探してみる。 「今学期からの転校生だな。Sクラス・・・成績は優秀だが、家柄は普通。顔立ちは・・・地味、だな。」 龍弥とどういう関係なんだろう。 守って欲しいと言ってくるからには、余程の仲なはず。 だが・・・。 何処で知り合ったんだろうか。 以前の高校や家の住所を見る限りでは、全くといっていいほど接点があるように思えない。 「柊木 領・・・。」 もう一度ファイルの写真を見る。 本当に平凡な感じがするけど・・・。 龍弥は愛想が良くてイケメンで、勉強もスポーツも人並み以上に出来て、人望もある。 だけど、孤独だ。 その龍弥が心を許せる相手なんて、そういないはず。 柊木君は転校してきてまだ3日目だ。 その彼が龍弥の心をどうやって掴んだのだろう? 私は柊木 領に興味を抱いた。 「会ってみたいな。」 龍弥の心を捉えた彼に。 私は自然と口角が上がるのが分かった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |