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鳳凰の宮学園
tatsuya 驚愕 3


ハァハァハァ。



胸が苦しい・・・。



押し潰されてしまいそうだ。



呼吸が上手くできなくて歩くのも苦しい。



生徒会室の裏手からほどなく行くと、小さな納屋があるので其処に落ち着く。



「ハァハァハァ・・・。」



領・・・。



俺、領のことが好きなんだ。



初めて会った時から、何故か惹き付けられてた。



微笑んだ顔やビックリした顔、泣き顔や照れた顔も。



そして話した時の優しい声、思いやりのある心。



全て好きになってた。



「領・・・会いたい。今すぐに。」



でも、会ってどうする?



徳平さんと付き合ってるって言われたら?



・・・怖い。



今までどんなことも怖いなんて思ったこともないのに。



領が俺の手の届かない所に行くんじゃないかって考えるだけで恐怖心が湧いてくる。



「変だな、俺。」



可笑しい。

何だか笑えてくる。



自分がこんなに弱虫だったなんてな。



冷静沈着で万事にソツがなく、切れ者だっていわれる俺が。



「これじゃあ、生徒会長の資格ないな。」



領を守るって言ったけど、実際に俺は守れない。



高等部にパイプがあるのは、長兄の朱雀と寮長の徳平さんと後数人だけ。



俺が人の上に立つ人間じゃないってのは解ってるつもりだった。

だから中等部で生徒会長に選ばれるとは夢にも思っていなかった。

そもそもなるつもりも無かったけれど。



中等部に入学した頃、俺は背が高くて生意気な面してるからって、よく上級生に呼び出されてはシメられていた。

全て返り討ちにしていたけど。

でも、ある時から呼び出しが来なくなり、上級生の1人に訪ねてみたら思いも掛けない言葉が返ってきた。



「お前、鳳凰の知り合いなんだろ?高等部からお前に関わるなって通達が来たんだよ。」



「・・・!」



その時悟ったんだ。

鳳凰家の中にいる限り、俺は守られてるってことを。

いくら努力しても、足掻いても、名前を変えても鳳凰家が放っておかない。



「息が詰まりそうだったな。」



だから俺は学園の外に出て、俺の居場所を探しに行ってた。



こんな俺じゃ頼りないよな。


けど・・・。



「領・・・俺じゃ駄目か?」



領の側にいたい。

俺が領を守りたい。

もっともっと話したい。

抱き締めたい。



・・・まだ間に合うだろうか?





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あきゅろす。
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