鳳凰の宮学園
tatsuya 驚愕 2
最初に口を開いたのは晄だった。
「へぇー!あの硬派の徳平さんがねぇ〜♪」
「なんかショックだ。あの人は違うと思ってたのに。」
生徒会会計の実直で真面目な有栖川 清爾が控え目に発言し、ガクッと肩を落とした。
それを見た明里と晄は大笑いして清爾の背中をバンバン叩いた。
「清爾の憧れの人だもんね〜♪」
「確かに有能だもんなぁ〜。清爾、いっそ憧れついでにお前も男と付き合ってみれば?」
「そうそう!僕と付き合ってみるぅ〜?」
晄と明里が茶化して言ったのを見て、清爾は2人を見下した目で、眼鏡をキラリと光らせてから。
「俺は絶対に女としか付き合わない!」
と高らかに断言した。
「それで明里ちゃん、徳平さんの恋人って誰か分かってるの?」
「え〜と、何でも地味な子らしいよ。1年みたいなんだけど、名前までは知らないみたい。」
ギクリ。
俺は思わず口を滑らしそうになった。
まさか・・・な。
そんなことあるわけない。
領は男と付き合うなんて、露ほどにも思っていない健全な男子高校生だ。
しかも、いくら徳平さんが有能でも、1日・2日で分かるわけない。
チュンチュン♪
着信音が鳴り明里がごそごそとポケットから携帯を取り出した。
「あっ!メールだ。」
受信内容を見て、明里が読みながら口に出した。
「なになにぃ。おー!名前が判明したぞ。」
俺は固唾を呑んで明里の次の言葉を待った。
「1年Sクラスの柊木 領って言うんだって。転校生なの?・・・わ〜お!昼休みに食堂で2人がちゅ〜したんだって!すごいラブラブだぁ〜♪」
「柊木 領?・・・あぁ!昨日の迷える子羊ちゃんのことだぁ!え〜、俺も狙ってたのになぁ。徳平さんに先越されちゃったよ〜。ぼくちん可哀想(ToT)」
「え〜、そうだったの?あれ、でも晄が狙ってるってことはめちゃめちゃ可愛いの?」
「うーん、第一印象は地味な感じなんだ。でもよく見ると驚いた顔とか・・・そうだ、表情つけると可愛くなるんだ!」
晄達の会話が段々と遠くで話しているように聞こえる。
俺はあまりの衝撃に思考回路が停止してしまった。
本当なのか?
どうして?
何故なんだ・・・領?
俺はいても立ってもいられなくて、生徒会室から足早に出ていった。
・・・行先も分からずに。
ただ、その場から立ち去りたくて。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!