鳳凰の宮学園
噂 3
ひ、一目惚れ?
寮長が?
考えられないことを、目の前の美形に言われて僕は戸惑った。
すると美形は今気付いたって感じで手を打ってから、僕に目を合わせてきた。
「アッ!まだ自己紹介していなかったね?僕は3年で、風紀委員長をしている、佐和 裕人。よろしくね♪」
話終えると首を傾げて、ニコッと笑う。
その姿に・・・。
ぽわ〜んとなる。
美形が笑うと、幸せな何ともいえない良い気分になる。
僕もつられてニコッとした。
そうしたら、佐和さんは急に憂いに満ちた表情をして、ポツリと低い声で呟いた。
「・・・なるほど。その笑顔にやられたんだな、あいつ。」
佐和さん?
急に哀しそうな顔をした佐和さんに、僕はどきっとした。
何だろう?
すごい色気だ。
男の人なのに・・・。
僕がぼーっと見つめていると、佐和さんがハッとしたように。
「柊木君、徳平はいい奴だよ。あいつならきっと君を大切にする。だから安心して付き合えるよ。」
「え、あの、違いま・・・」
僕が違うと言いかけたら、遠くから寮長が呑気に大きな声を出してやって来た。
「おー!柊木、此処にいたのか?メシ一緒に食べようぜ!」
片手にランチを乗せたトレイを軽々持って、僕達の方にやって来た。
「柊木、順調に過ごしてるか?」
満面の笑みで僕を見て楽しげにしている。
そして隣に佐和さんが居るのに気付くと。
「佐和?珍しいな、お前が食堂に来るなんて!明日は大雪だな♪」
「今も大雪だよ。」
静かに返されて、さしもの寮長も笑顔のまま凍りついたみたいになってる。
「徳平、可愛い恋人が出来たんだから大事にしろよ。」
「あぁ。そうするよ!」
ええー?
寮長、僕達は恋人じゃないでしょ!
訂正しようとしたら、今度は河上君と田嶋君が戻って来て、寮長と佐和さんがいるのに驚いたようで目を見開いている。
「りょ、寮長と佐和姫だぁー!」
「佐和姫、超別嬪さんやん♪」
2人の登場に佐和さんは、先程までの憂いた顔から明るい表情になった。
「こんにちは。」
佐和さんに挨拶されると2人は真っ赤になり、背筋をピンと張って直立不動で立ったまま動けなくなっていた。
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