鳳凰の宮学園
噂 2
なんとか午前中の授業を終えた僕は、河上君達と一緒にお昼ご飯を食べるために食堂へ向かった。
その途中、いろんな人からヒソヒソ話と好奇の目を向けられて落ち着かなかった。
『なんで、あんな地味な子が?』
『転校生だから、優しくしてるだけだろ。』
『そうだよ。恋人じゃなくて、地味なのが珍しかったんじゃないか。』
食堂に着くと、僕と一之瀬君が先に注文しに行った。
「領、何食べる?俺はAランチの天ぷら定食にするけど。」
一之瀬君が今日のオススメメニューを見ている。
「そうだなぁ、僕も同じのにする。」
Aランチのトレイを持って2人で河上君達が陣取っているテーブルに着くと、周りの生徒達がこちらの方を一斉に見出した。
僕はその目線に耐えられなくて俯いた。
「ひひひ、領ちん、な〜んか疲れとるやん。はよ、座り。今度は俺達が行くから。」
田嶋君に促されて席に座った僕は顔を上げられなかった。
そんな僕を心配してか、一之瀬君は安心するような笑顔を見せてくれて。
「気にすんなって。人の噂も75日っていうだろ。」
し、しちじゅうごにちも?
はあ。
どうして寮長はあんなことを言ったんだろう?
冗談にしても、周りの人達の視線が痛すぎるよ。
俯いて考えていたら、突然周囲がざわめいて口々に溜め息が溢れていた。
そして僕の視界にピカピカに磨かれた黒い革靴が見えた。
「君が、柊木君なの?」
え?
僕に話かけてる?
顔を上げてその人を見ると、如何にも上級生って感じの大人びた品の良い美形が立っていた。
き、きれい!
桜木君も綺麗だけど、この人は何て言うか、もっと女性的な美しさをもってる人だぁ!
僕は真っ赤になって、美しい人を眺めていた。
そうしていると、その美しい人はニコって笑ってくれて、また話かけてくれた。
「君の隣に座っても良いかな?」
「は、はいっ!どうぞ。」
僕はいつになく元気な声が出た。
「クスッ。君、可愛いね。」
「ええー?か、可愛くなんてないです。普通です。」
美しい人はニコニコ笑って、更に会話を続けようとした。
「今学期からの転校生って本当?」
「はい。」
「ふーん。じゃあ、徳平とは知り合いだったの?」
「え?いいえ、違います。」
なんで、寮長が出てくるんだろう?
「ふーむ。じゃあ、本当に一目惚れなのか♪」
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