鳳凰の宮学園
噂 1
重い足取りで教室に着くと安心したのか、椅子に腰掛けるとフニャッと机に俯せた。
「領、おっはよ!風邪でも引いたのか?元気ないなぁ。」
河上君が机に顎を乗せて、僕の顔を覗き込んできてから、額をくっ付けてきた。
「熱はねぇみたいだなぁ。何かあったのかぁ?」
僕は河上君と目を合わせると、すがるような目を向けた。
「・・・///」
「河上君・・・僕、」
「うん。」
「寮長にからかわれた。」
「はぁ?」
河上君は訳が分からんといった顔をしてから、僕に問いかけてきた。
「寮長って3年の徳平さんかぁ?何てからかわれたんだ?」
「寮長の想い人が僕だって。」
「・・・!」
河上君は口を大きく開けて、学園中に響き渡るような大声で叫んだ。
「エエエ゛〜〜?」
噂というのは恐ろしい。
1時間目が終わった頃には、知らない人がいないくらい学園中に僕と寮長のことが知れ渡っていた。
「徳平さんは冗談を言うタイプじゃないから、領のこと真剣なんじゃないかな?」
と、一之瀬君。
それに反論して田嶋君は。
「それは無いんじゃないか?昨日会って直ぐに恋に落ちるか?男同士で?」
「あるだろ!一目惚れとか。領は可愛いからな、俺だって一目惚れしたし。」
河上君が力説した。
頬を赤らめて、目をキラキラさせている。
うーん、冗談だよね?
「でもまぁ、寮長の恋人つったら危害は加えられないだろうから、まずは安心だな。」
こ、
恋人ぉ〜!?
ま、間違ってるよ〜!
「一之瀬君!僕と寮長は男同士なんだから、恋人になれるわけ無いでしょ!?」
「男同士だって恋人には成れるぞ。」
僕は絶句した。
だってだって、そんなの有り得ないよ〜!
恋人って女の子じゃないと!
僕が茫然としていると、一之瀬君は追い討ちをかけるように歯をキラリと光らせて。
「sexも出来るし。」
僕は咄嗟に久我山のベッドシーンを思い出してしまった。
そして真っ赤になった僕に今度は田嶋君がニカッと笑いながら。
「そうそう!海外では結婚も出来るしサ♪領も試しに寮長と付き合ってみちゃったりすれば♪」
ガーン!
一之瀬君と田嶋君は完全に僕と寮長で遊んでる。
僕はそれからの1時間、頭の中をぐるぐるさせながら過ごした。
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