鳳凰の宮学園
鳳凰の入口 4
僕は龍弥先ぱ・・・じゃなくて龍弥君を見て、こんなに大人っぽくて堂々としているのに僕より年下だなんて、人って見た目じゃわからないと思った。
きっと龍弥君も僕の事を子供っぽいのに年上なんだ、とか思ってるだろうな。
僕が考え込んでいると龍弥君が話し掛けてきた。
「高等部に案内するよ。」
さっきと態度が変わらずに笑顔で言ってくれた。
「ありがとう!」
僕は嬉しくて、満面の笑みをした。
雪道を二人で歩く。僕は龍弥君に置いていかれないように必死で付いて行った。なぜなら足の長さがあまりにも違うんだ。龍弥君は足が長い。いや長すぎる!日本人にしては腰の位置が高い。反対に僕は背が低いのもあって足が龍弥君より・・・。自分でいうと悲しくなるからやめとこう。
僕の息が切れて来たとき、雪が木の枝から落ちて来た。僕の頭に。
ガサッ!
そして、その重みで足がガクッとなりその場に座り込んだ。
龍弥君は急いで僕に駆け寄ってくれた。そして手で雪を祓ってくれながら大笑いした。
「領って面白い顔してるなぁ。」
へっ?僕?
「なんか喜怒哀楽が顔に出てるとことかが。素直な感じがして。」
それがどうして面白いんだろう?僕にはわからなかった。
「立てそうか?おんぶしてやろうか?」
龍弥君はちょっと意地悪な顔をして言った。僕は真っ赤になって首をぶんぶん振った。
「ほら。」
龍弥君は手を差し出した。僕はじっと見た。
「手、貸して。」
僕は手を重ねた。そうしたら龍弥君がぎゅっと手を握った。
「手繋いでやるからちゃんと歩けよ。」
僕はきっとトマトのように真っ赤だったろう。年下の中学生に子供扱いされて恥ずかしい。
でもイヤじゃない。龍弥君って不思議な人だ。僕はこの数分で彼の事が好きになっていた。
「着いたぞ。」
龍弥君の指差す方を見ると、そこには門と同じでお城みたいな外観の寮があった。
「本当に寮なの?」
「そうだぜ。じゃ、俺はここまでな。」
龍弥君はそう言って踵を変えそうとしたので僕はあわてて呼び止めた。
「龍弥君!案内してくれてありがとう。凄く助かったよ。」
龍弥君は僅かに微笑んで手を上げた。そしてゆっくり中等部に帰って行った。
僕は龍弥君の後ろ姿が見えなくなるまで見送り続けた。
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