鳳凰の宮学園 tatsuya 反省 スー、スー。 領の安らかな寝息が聞こえてきた。 俺の腕の中で、安心して眠りにつけたのが分かってホッと一息つく。 「領、お休み。」 額にかかった髪の毛をかき分けてから、俺は領のおでこにキスをした。 可愛い寝顔だなぁ。 子供のように無防備で。 そんな領を見ていると、とても幸せな気持ちになる。 ・・・なのに、 俺は今日、領に最低なことをしようとしてた。 晄の言った言葉に心がざわついて焦ってしまい、気が付いたら領のいる高等部に向かって一目散に走り出していた。 近道をしたおかげで、領の悲鳴が聞こえ助けることができたけど。 もし領があの時襲われてなかったら、俺が押し倒していたかもな。 あいつらと同じで領を悲しませてた。 「領、ごめんな。俺、もう少しで・・・」 俺は領の首筋に唇をつけて、赦しを乞うた。 熟睡中の領には、俺の言葉なんて聞こえていないはずだけど。 「ン・・・ムニャ。」 俺には返事をしてくれているように聞こえて、領が赦してくれているような気がした。 「領、俺はまだ全然ガキで力なんて無い。だけど、絶対に領を守ってみせる。」 俺は領を起こさないように、ベッドからそっと抜け出た。 そして、携帯電話を手に取り部屋の外に向かった。 番号を呼び出してから押し、暫く待った。 『はい・・・何の用だ、龍弥?』 「頼みがあります、朱雀兄さん。」 『・・・頼み?お前が?珍しい事もあるもんだな。それで、どんな頼みだ?』 「高等部の一年にいる柊木 領を守って欲しいんです。」 『・・・』 電話越しに、俺の真意が伝わるだろうか? でも、明日じゃ駄目なんだ。 今すぐ手を打たないと、どんな危険が待ち受けているか分からない。 『解った。お前の頼みはきいてやる。だが、タダというわけにはいかないぞ。貸しにしておく。解ったな?』 「はい、兄さん。」 電話を切ると、俺はまた自室に戻りベッドに入った。 すかさず領を抱き締め、その温もりに安堵した。 「領・・・俺、領が好きだ。」 そう何度も呟きながら、俺は眠りにおちていった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |