鳳凰の宮学園
1―S組 3
僕はいつも周りからチビって言われるとムクれていたけど、河上君に言われても少しも腹が立つことは無かった。
河上君がとっても嬉しそうに言うからだ。
チビって言われて初めての事だった。
「翔平、俺達にも喋らせろよ。」
「そうだ、そうだ!」
僕は声がした方を見た。
クラスのほとんどみんながいたので僕はビックリした。
「へぇ、近くで見ると結構カワイイじゃん。」
「お前もそう思った?」
「「桜木には敵わないけどな。」」
僕はまたもやビックリした。
桜木君みたいな美少年と比べられるなんて。
天と地の差なのに。
恥ずかしくて居たたまれなくなった。
ボカッ!
「こらあー!お前ら領が俯いただろ!優里と比べるんじゃねぇ。」
河上君が僕と桜木君を比べた人達の頭を叩いた。
痛そう。
でも河上君ていい人だ。
僕は嬉しくなった。
自然と顔が綻ぶ。
「「・・・」」
あれ?
急に静かになった。
どうしたんだろう?
そういえば、桜木君がいない。
帰ったのかなぁ?
僕がキョロキョロしていると、背の高い爽やかなクラスメイトが気付いたみたいで。
「桜木なら帰ったぜ。」
「そ、そうなの。」
帰ったのかぁ。
話して見たかったけど、僕と友達になってはくれないだろうな。
「領、桜木は滅多に友達作らないから気にするなよ。」
「そ、そうなんだ。」
どうしてだろう?
あんなに綺麗だったら友達になりたい人が多いと思うけど。
「その内に分かるよ。」
爽やかなクラスメイトは僕の思考が解るみたいだ。
ニッコリ笑って答えてくれた。
それからクラスメイト達の質問攻めにあった。
前はどこの高校だったとか、住んでるとこは何処だったとか。
僕は親の離婚の事は伏せておいた。
実際まだ手続きしてないから。
僕が寮に入るって決まった日から両親は離婚の話をしなくなったんだ。
1―S組のクラスメイト達はみんな良さそうな人達だった。
楽しいし、明るい。
仲良くなれそうだ。
「領、学園の事分からないだろう?案内してやるよ!」
河上君が申し出てくれた。
「じゃあ俺も行く。」
「仕方ない、俺も行くか。お前らだけじゃ心許ないしな。」
爽やかなスポーツマンは河上君ともう一人にボコられた。
うふふ。
仲が良いんだな。
僕はその光景を見て微笑ましく思った。
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