鳳凰の宮学園 1―S組 2 桜木君は、そんな僕を見て微笑んだ。 「柊木君は僕の隣の席だからね。分からない事があれば遠慮なく聞いてね。」 「うん。ありがとう。」 はぁ。 緊張するぅー。 こんな近くで美少年に見られたら誰だってそうなるよぉ! 本当にうっとりしてしまう。 「柊木君、君の棚は此処になるからジャケットなんかは置いておくといいよ。」 「あ、ありがとう。」 僕はダウンジャケットを脱いでから棚に置いて、席に着いた。 僕が席に着くと、山内先生は今学期の予定を発表して言った。 「今年最初のイベントは生徒会の役員を決める投票があることだ。12月初めから交付されているから充分に検討は出来たと思う。諸君の良識ある投票を願うぞ。」 そういえば、鳳凰さんも立候補してるって言ってたな。 フフ。 あの不良な人が生徒会長になろうだなんて。 投票してくれる人がいるんだろうか? 僕は鳳凰さんを思い出して、吹き出しそうになった。 「それから来週早々に学力テストがあるから気を弛めるなよ。」 「「えーー!?」」 一斉にブーイングが起こった。 「山ちゃんヒデェよ!」 「休み明けに試験なんて横暴だ!」 「鬼!悪魔!変態!」 山内先生の優しい顔がピクリとひきつった。 「誰だぁー?変態なんて言った奴は?」 山内先生の怒りにも全く素知らぬ風で生徒達は騒ぎ出した。 「山ちゃん怒っちゃやだぁ♪」 「怒ると不細工になるぞ!」 山内先生はあきれ果てた様子だ。 「はぁ。全くお前達は・・・じゃあ今日は宿題を提出したら帰っていいぞ。」 「やったぁ、山ちゃん大好き!」 「よっ、男前」 「また、明日ね」 僕はボーッと座ったままになっていた。 今日は授業が無いんだ。 僕はどうしたら良いんだろう? 「オーイ、新入り!起きてるかぁ?」 僕は急に声を掛けられてビックリした。 前を見ると元気そうな顔が僕を覗いていた。 いかにもスポーツマンみたいな溌剌とした感じの。 「は、はい。」 「よし!俺っち河上翔平、宜しくな、領♪」 「こ、こちらこそ!」 僕は立ち上がって挨拶した。 河上君はかなり大袈裟に、ピョンと飛んで立ち上がった。 「おっ!やっぱ俺っちとおなじぐらいの背だな。チビチビコンビの出来上がりだな!へへへ♪」 河上君は鼻を擦りながらそう言った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |