鳳凰の宮学園
金曜日の朝 5
いっけない〜。
1人の世界に入っちゃってた。
せっかく龍弥君といるんだから会話を楽しまなくちゃ。
「龍弥君はクロワッサン好き?」
「ウーン、そうだなぁ。食感とかは好きなんだけど、ボロボロとパン屑が落ちるだろ?これが苦手なんだ」
「あー、それ気になるよね。僕も気をつけて食べてるけど、お皿やテーブルクロスの上にも落ちちゃうから恥ずかしくなっちゃうものね」
「そうなんだ。自分が子供のように食い散らかしたみたいな気になって」
「ハハ、分かる分かる!でも・・・ウフフ」
「どうしたの、領?」
龍弥君がパンを千切る指を止めて、僕を見つめる。
僕は龍弥君を微笑んで見つめ返す。
「あのね龍弥君が僕と同じように思ってたから、なんか嬉しいなぁって思っちゃったんだ」
「ゥ・・・///」
ポロッ。
龍弥君の指先からクロワッサンが、お皿の上に落ちた。
そしてその指先が口元に当てられ、顔が反らされ視線が少し伏せられた。
アララ?
龍弥君の顔がみるみるうちに赤くなっていく。
一体どうしたんだろう?
でも可愛い〜。
龍弥君ってば大人っぽいのに、こうした何気ない仕草とかが年下っぽくて、すごく可愛いんだよね。
やっぱり龍弥君が好きだなぁ〜。
1人でニコニコして和んでいたら、龍弥君が赤い顔色のまま僕の方をチラッと見た。
「なに?」
「龍弥君の笑顔に癒されてた」
僕がそう言うと、今度は顔をうつ伏せて右手で額を支えた。
「領、頼むから・・・」
「え?な〜に?」
龍弥君の声が小さくて聞き取れなかったので聞き返すと、龍弥君はいつも通りの穏やかな表情に戻っていた。
「・・・何でもない。それより食べよう。スープが冷めてしまう」
「そうだね!」
先ほどから鼻腔を擽っていたポタージュを一口飲むと身体が温まってきた。
そしてメインのオムレツをフォークで切り分けると、中味がトロリと溢れだしてきた。
「ワァ、ミートソースが中に入ってる!美味しそう〜」
パクっと頬張ってみると、やっぱり美味しくて幸せな気持ちになってくる。
「美味しいね、龍弥君」
「アア、美味いな。それに領と一緒に食べるともっと美味くなるよ」
「そうだね〜」
ん?
今なんて?
「ところで今日の晩なんだけど、良かったら泊まりに来ない?」
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