鳳凰の宮学園
おしかり 2
一昨日・・・。
一昨日って。
僕は身体中の血の気が一気に引いてきた。
だけど更に久我山が追い打ちをかけてきて。
「無防備すぎんだよ! 朝や昼間ならともかく、こんな消灯時間を過ぎてフラフラ戻ってきやがって、何考えてんだ? しかも今日は掲示板に徳平や神村とのでっち上げを貼り出されたんだろ? 奴等の親衛隊に捕まって、一昨日みたいな目にあうかもしれないって考えなかったのか? そこまで馬鹿なのか!?」
久我山の怒気の混じった迫力と話した内容に反応できなくて、ただただ黙って見つめていた僕に益々イライラしたのか、久我山はまたテーブルを叩いた。
「オイ、聞いてんのか?」
「聞い、てるよ・・・」
かすかに声が震える。
「だったら心配かけさせんじゃねぇ! お前がまた危険な目にあってるかも知れねぇって、こっちは居ても立ってもいられなかったんだぞ」
ハッとした。
僕って最悪だ。
久我山は一昨日の件で僕の事を気にかけてくれているのに、僕自身があまりにも考えが浅すぎて、なんだか情けない。
「久我山ごめんね、僕のこと心配してくれて・・・それなのに僕ったら連絡もしないで遅くなって。本当にごめんなさい」
膝の上に額が着くぐらいに深々とお礼をした。
本気で心配してくれた久我山に、感謝の気持ちでいっぱいだったから。
そうしたら、頭上から久我山の焦ったような照れたような声が聞こえてきて。
「あ、頭上げろよな。別にお前に謝ってもらおうなんて思ってないんだし・・・」
「うん。ありがとう、久我山」
顔を上げてお礼を言う。
笑顔をつけて。
「バッ、笑うんじゃねえ! ビシっと引き締めろ、ビシっと。そんな柔な顔してるから目つけられんだ!」
「わ、分かった。ビシっとだね」
僕は自分の両手を目尻において引き上げてみた。
それを不思議に思ったのか、久我山が質問してきた。
「何してんだ?」
「久我山がビシっとしろって言ったから、してるんだよ」
「言ったけど・・・ブハハハッ、ま、まさかそんな真似するとは・・・それにしても不細工で変な顔になるなんて、反則だ! ブハハハハーー」
「ひどい久我山! もう大キライだ」
「わ、ワルかっ・・・ブハハハハッ♪」
本気でウケてる。
僕ってそんなに不細工なんだろうか?
すごく落ち込んできて、僕は自分の部屋に戻って行った。
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