鳳凰の宮学園
桜木優里 6
仕草が可愛い・・・って?
僕の?
ボワッ・・・///。
は、恥ずかしい!
桜木君みたいな美少年から、そんな風に言われちゃうと照れてしまうよ。
恥ずかしさで視線を下げていたら、桜木君が小さな声で呟くように。
「柊木君は変わらないでいてね」
「え?」
僕を見つめて言う桜木君の声が、さっきよりも低くて沈んだように聞こえたから、驚いて見つめ返した。
すると桜木君は、何事もなかったようにすぐに笑顔になって、ごはんを口に運び始めた。
「美味しい。柊木君も早く食べて、冷めちゃうよ」
「う、うん」
何だったんだろう?
今のあの悲しい響きは・・・。
桜木君を見ても、見惚れる笑顔を浮かべているだけで、何も分からなかった。
聞きたい衝動に駆られたけど、なんとなく言い出せなくて。
そんな時、ふと一之瀬君が前に言っていたことを思い出した。
“桜木は滅多に友達を作らないから”
どうしてなんだろう?
こんなに気さくに話し掛けてくれたり、親切にしてくれているのに。
僕、桜木君と友達になりたい!
桜木君ともっともっと仲良くなりたい!
でも・・・桜木君は僕と友達になってくれるだろうか?
「柊木君、デザートの和菓子には緑茶でいい?」
「え?あっ、うん。ありがとう」
いっけない〜。
考え事は後、後!
今は桜木君との会話を楽しまなくちゃ。
「そういえば柊木君、明後日の休みは何処かへ出掛けるの?」
ティーパックを入れたコップにお湯を注ぎながら、桜木君が唐突に聞いてきた。
僕は急に龍弥君が想い浮かび、明後日の予定を全く立てていないことに、弱冠焦りながら答えた。
「そうしようと思ってるんだけど・・・場所とか決まらなくて」
正直な所、龍弥君と一緒に出掛けるって全然リアルな感じがしないんだ。
あんなに格好良い友達が今までにいなかったからかもしれないけど、どんな所に行ったらいいのか見当もつかないし、龍弥君の趣味や何が好きなのかも知らないし。
ただ言えることは、龍弥君と過ごせるんだと思うだけで僕はあったかい気持ちになるんだってことだけで。
「買い物や映画とかに行くの?」
桜木君が緑茶を僕の前に置いて、椅子に座り直した。
「買い物・・・になるかな」
「それじゃ、1時間半ぐらいバスと電車で乗り継いで行けば、市内に出られるから行ってみたら?」
「えー?そんなに速く行けるの?」
「フフフ、行けるんだよ。こんな山奥にあるようにみえて、実は車だと高速を使えば1時間もかからないんだ。不便にみえるけど、中々立地条件が良いんだよ」
「そうだったんだぁ〜!行ってみようかな」
その後、僕は桜木君と市内の行き方の話をしたり、最近気になるお店の話をしてゆっくり過ごした。
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