鳳凰の宮学園
桜木優里 3
僕がソファーの肌触りやフカフカ具合に感心を寄せていると、キッチンの方で何かを探しているような桜木君の声が聞こえてきた。
「ここら辺に確か、この前貰った物をまとめてあったような気がしたんだけどなぁ。どこにしまったっけ・・・あー!あったあった。柊木君こっちに来て」
桜木君に呼ばれて、僕はソファーから立ち上がってキッチンに向かった。
僕が側に来ると、桜木君はキッチンカウンターに溢れかえるぐらいの種類の、茶葉やコーヒー豆を出している最中だった。
「柊木君、たくさんあるから、どれでも好きなの選んで」
「好きなの・・・って」
こんなにたくさんあるんですけど〜?
しかもみんな見たことのないラベルばっかりで、高級そう。
幾つかを手にとって見ていると、桜木君も同じようにラベルを見ていて、驚いてるみたいだった。
「茶葉やコーヒー豆の種類ってこんなにあるもんなんだね、知らなかったよ」
「そう言えば、さっき貰い物って言ってたよね。家から持ってきたの?」
「ううん。部屋の前や教室の机の上とか、下駄箱なんかに置いてあったんだ」
「へぇー!桜木君ってモテるんだね。こんなにたくさんのプレゼントを貰うなんて!」
僕が感心して言うと、桜木君が僕をチラッと見て、拗ねたように一言。
「男子校だよ」
お互いに目を合わせてから、プッと吹き出し笑いあった。
「そうだったねー」
「そうだよー」
僕達はひとしきり笑いあった後で、最近桜木君が良く飲んでいるという柚子茶を作って、ソファーに掛けた。
「柚子茶って初めて飲むけど美味しいね」
「口にあって良かったぁ。柚子茶は身体が温まるし風邪の予防にもいいんだよ」
「そうなんだぁ。良いこと聞いたな。僕も買っちゃおうかな」
「それなら買わなくても、飲みたくなったら僕の部屋においでよ。ねっ?」
思わず息を呑む。
小首を傾げて笑顔で言う桜木君に、断われる人なんて、きっとこの世にはいないと思った。
それほどまでに、綺麗な笑みだったんだ。
僕は赤くなりながらも、桜木君にお礼を言った。
「うん。ありがとう・・・///」
「僕の方こそ。また柊木君と会う機会が出来て嬉しいんだから」
うわぁ!
そのキラキラ光線が眩しいよ。
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