鳳凰の宮学園
桜木優里 2
桜木君をまじまじと見てしまった。
い、今、一緒に勉強しようって・・・部屋においでって言ってくれたよね?
桜木君の部屋に!
「1度部屋に帰る?」
「え?ああ!うん。着替えたい・・・」
「だよね。僕の部屋は5階の520号室。着替えが終わったら来てね」
「うん。桜木君、あの、ありがとう」
「どういたしまして。っていうか、実を言うと僕も1人で勉強するのが寂しかったんだ。柊木君となら楽しく勉強できるかと思って・・・じゃあ部屋で待ってるね」
「うん!」
後で会う事を約束して、僕達はそれぞれ自分の部屋に戻って行った。
部屋の前に着くとドアにカードキーを差し込んで中に入り、同居人の名を呼んでみる。
「ただいまー。久我山いるの?」
リビングに入っていくと、部屋には誰も居なかった。
「まだ学校にいるのかな?」
久我山が放課後残って勉強してるなんて想像もつかないけど、何してるんだろ?
制服からフード付のスウェットに着替えて、桜木君の部屋に行こうとしたら、ふと鏡に映った自分が見えた。
「桜木君に会うのに、この格好って良いんだろうか?」
やっぱり、もうちょっとちゃんとした服装の方がいいかな〜?
だって桜木君の部屋に行くんだぞ。
チラッともう一度鏡を見る。
・・・迷う。
んーーー!
んーーー!
いくら悩んでても仕方ない!
よし決めた!
迷うけど、この格好で行こう。
寮内だし、堅苦しい服なんて着てたら勉強出来ないしね。
用意が整うと、桜木君の部屋に向かって階段を使って上って行った。
520号室の前に辿り着くと、急に心臓がバクバクして騒ぎだした。
「緊張するな〜」
深呼吸を繰り返し、少しばかり落ち着きを取り戻してから、ドアをノックした。
するとガチャっとドアが開いて、桜木君が出てきてくれた。
「いらっしゃい、どうぞ中へ入って柊木君」
わぁー!
制服姿も素敵だったけど、私服姿も素敵だ!
ジップアップのプルオーバーに、ジーンズをはいている普通の格好なのに。
なぜこうも浮世離れしているんだろう?
「柊木君、あったかいものでも飲む?何が好き?」
「い、いいよ。お構い無く」
「くす。遠慮しないでよ。さぁ、座って」
桜木君が突っ立っている僕を、後ろから肩を押してソファーに座らせる。
わっ、フカフカだぁ〜。
このソファー気持ち良い!
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