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鳳凰の宮学園
桜木優里 1


学園から外に出てみると、朝から降っていた雪が止んでいた。



HRが終わってから1人で帰ろうとしていたら、河上君達が僕を寮まで送って行くと言ってくれていた。

だけど部活があるのに迷惑かけたくなくて断っていたら、桜木君が声をかけてくれたんだ。



「柊木君、僕と一緒に帰ろう」



ごく自然な、それでいて人を惹き付ける笑顔で僕に言ってくれた。



「え、一緒に?良いの?」



僕は桜木君と帰れることが嬉しくて、思わず飛び上がって聞き返した。



「フフフ、やだな柊木君。もちろんだよ」



桜木君の綺麗で優しい顔が、僕に微笑んでる〜。

超、超嬉しい!



帰途に着く道をルンルン気分で歩いていたら、桜木君がクスクス笑い出した。



「柊木君って、いつも明るくて楽しそうだね」



「え!そうかな?」



「そうだよ。感じも良いし。僕、柊木君のこと好きだよ」



「す、す、好き?」



「うん!」



わわっ!
胸の鼓動が速くなってきた。

そんな天使のような笑顔で微笑まれたら、同じ男なのにクラクラするよ〜。

ボォーっと桜木君に見惚れ続けていたら。



「柊木君、今日晩ごはん一緒に食べない?」



って誘われた。

突然言われた僕は聞き間違いじゃないかと思い、桜木君を見つめていた。

そうしていたら、桜木君が困ったように僕を見て、視線を反らしながら呟いた。



「迷惑じゃなかったら、だけど・・・」



「め、め、迷惑なんかじゃないよ!桜木君と御飯が食べれるなんて、すっごく嬉しいもの」



真剣に力を込めて言ったら、桜木君が笑みを浮かべて。



「良かった」



って言ってくれた。

僕は今にも小躍りしそうなぐらい嬉しくて、終始ご機嫌だった。

桜木君てば優しいな、それでいて気さくだし話しもしやすいし。



だけど次の瞬間、最高に浮かれていた僕は、桜木君の言葉に凍り付いた。



「今日の授業で習った化学式は来週の学力テストに出題されるようだから、復習しといたほうがいいだろうね」



今日の化学の授業のことを思い出した僕は、みるみるうちに青ざめていった。



「柊木君どうしたの?顔色が悪いよ」



「あ、僕、化学の授業で解りにくいところがあって・・・」



「今日の?だったら僕の部屋においでよ」



「え?」



「一緒に勉強しよう」

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