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鳳凰の宮学園
購買部 2


ジュースを買った僕は田嶋君が待つ場所に向かう途中、聞き覚えのある声が聞こえてきたので歩みを止めた。



「おばさん、次の注文書これでお願いします」



この声、確かどこかで聞いたことが・・・。

どこでだろう?



「ハイハイ、これね。玉ねぎと人参、それからまぁ、ジャガイモこんなに使うの?」



「は、はい。お願いします」



「ウフフ。そんなに畏まらないで。部活頑張ってね」



「ハイ!」



部活?

玉ねぎと人参、ジャガイモを使うなら・・・もしかして!

僕は思い切って声の主に話しかけた。



「あ、あの〜」



「え?ぼ、僕?」



振り向いてくれたその人は、僕より少し背が高くて小さな顔からはみ出るような大きな丸い眼鏡を掛けている人だった。



「はい。あの、今の会話聞こえてたんですけど、部活って料理のですか?」



「う、うん。でも部活っていうんじゃなくて、僕個人でしてるだけなんだ」



「個人?」



「ぼ、僕が好きな人の為に色々作ってあげたいから勉強したくて・・・ただそれだけだから部活なんて大それたもんじゃないんだよ」



顔を真っ赤にして話すその人はとても可愛らしい。



「わぁ、素敵です!僕も好きな人に食べて欲しいですもん。その気持ち分かります」



「えっ、そう?ありがとう。人にそう言われたの初めてだから、なんだか嬉しい」



また赤くなってる。

感じの好い人だなぁ。



「お〜い、領ちん早く戻ろう!腹へったぁ〜」



忘れてた!
田嶋君を待たせてたんだった。

僕は急いで戻るべく、お辞儀をしながら挨拶した。



「すいません、呼び止めてしまって。僕失礼します」



「あ、うん。あ、待って。僕、1のBの榊原夏生っていうんだ。君は?」



「1年Sクラスの柊木領です。今度ゆっくり話しましょうね!」



「うん!」



笑顔を浮かべてお互い別れ、僕は田嶋君が待っている場所に向かった。

隣に来ると田嶋君がコソッと耳打ちしてきた。



「領ちん、今の奴に何か言われたんか?」



「ううん。ちょっと聞きたいことがあって・・・あっ!」



「何や、どないしたんや?」



僕は振り返って榊原君を探したけれど居なくなってて、そのまま立ち止まって昨日のことを思い出した。



そうだあの声、昨日久我山の食事を用意していた子だ、間違いない。

今度会ったら御礼を言わなきゃ。



でも、まさか榊原君の好きな人って・・・。



うーん。
考えないようにしよ。





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あきゅろす。
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