鳳凰の宮学園 suzaku 掲示板 3 総一郎は白い歯をキラッと光らせてから爽やかな笑顔を見せた。 「い〜や。まだ俺の片想い中だ。」 私は驚いて総一郎を見つめた。 片想いだというのに、今だかつてないほど楽しそうな顔をした親友を、初めて見たからだ。 「だが・・・柊木領は二股をかけているんだろう?」 「それは違うよ。領はそんな器用な奴じゃないし、神村とのこともきっとガセネタだろう。領はまだ恋なんて知らないお子ちゃまな奴だから。」 そう言ってから楽しそうに笑う総一郎は、いつもの総一郎の筈なのに、なんだかやけに遠くに感じられた。 本当に・・・今日の総一郎には驚かされる。 今まで見たことのない顔ばかり、私に見せてくれる。 それほどに・・・ それほどまでに、柊木領と言う人物は魅力的なのか? ファイルに目を通した限りでは、その魅力が分からなかったが。 「朱雀様、そろそろ生徒会室に参りましょう。」 静がそっと私に促した。 「アァ、そうだな。総一郎はどうする?」 「俺はやることがあるから。またな♪」 片手をヒラヒラさせて、私達から去って行った。 「静、掲示板のこと総一郎に連絡したのはお前か?」 「ええ。」 「何か意図があるように思うか?」 静は少し黙ってから、笑みを溢した。 「無いと思います。ネタの無い新聞部が、総一郎や神村君の噂を聞き付けて、面白がって書いたのでしょう。もし意図があるとしても・・・神村君の副会長を阻止する為、とは考えられますが、それはあり得ないでしょう。これぐらいの騒ぎで会長になろうとする、あの彼が優秀な神村君を諦めるとは到底思えませんし。」 アイツはそうするだろうが・・・。 だが、何故か気にかかる。 それと・・・柊木領。 単に巻き込まれただけなのかもしれないが、彼も気になる。 他人に心を開かない頑なな龍弥や、誰にでも公平でノーマルな総一郎が、転校して間もない柊木領に肩入れしている。 この時期に転校して来ること事態は妙だと思っていたが、ファイルにはどこといって特筆すべき所がなかったので、奴と繋がっているかも知れないとは考えもしなかった。 学園に入るまでの友人か、それとも? 何はともあれ、一度会っておく必要があるな・・・兄として友人として、柊木領という人物に。 [*前へ][次へ#] [戻る] |