鳳凰の宮学園
suzaku 掲示板 2
「静、総一郎おはよう。」
私が声を掛けると、2人は対称的な顔付きで振り返った。
「ハヨー、朱雀!」
「おはようございます、朱雀。」
いつでも明るい徳平と冷静沈着な玉城。
彼等とは妙にウマが合い、中学・高校と楽しく学園生活を送れている要因の1つだ。
しかし静が私と同様、早朝に登校しているのは毎日の事だが、総一郎は今日に限って何故こんな時間に?
「2人共そんなところで何してるんだ?」
ちょうどそこには掲示板があり、2人はそれを見ていたようだが。
「おー!よくぞ聞いてくれた生徒会長殿。なんと、この俺の熱愛報道が大々的に掲示板に貼り出されてるんだ。世紀の大スクープを見てくれよ♪」
「熱愛報道?」
総一郎の?
まさか・・・。
私は俄に信じがたく、掲示板に近寄り内容を声に出して読んで言った。
「魔性の転校生現る・・・。学園きっての男前寮長・徳平総一郎と次期生徒会副会長候補の神村槇を両天秤にかける凄腕の一年生・柊木領は・・・柊木領?」
確か龍弥が守ってほしいと言っていた・・・あの柊木領なのか?
そうだとしたら、なぜ総一郎と?
思わず総一郎を凝視していたが、当の総一郎は写真を見てニコニコしていた。
「しかし切れ者集団の新聞部にしては、写真撮影が下手だなぁ。俺の一番良いショットは右斜め45度なんだが♪」
私が知っている徳平総一郎という人物は、ホモでもバイでもなく、ノーマルな人間だ。
この6年間、一度も男と付き合ったなんて話を聴いたことがない。
なのに何故、今、この時期に?
「総一郎、卒業間近だというのにはた迷惑な話だな。新聞部の部長はもう、2年生になっていたな。貼り紙を撤収させるか?」
「そうだな・・・だけど、どうしたもんかな。」
総一郎にしては珍しく真剣身を帯びた低い声。
「何がだ?」
「領との2ショットが結構イイ感じに撮れてるんだよなぁ。外すのちょっともったいないかなと思ってさ。それに・・・。」
「それに?」
「領を守る為には、俺と付き合ってるって公にしといた方が良いだろうと思ってな。」
柊木領を守る?
総一郎と付き合ってるだって?
じゃあ、龍弥は?
あいつは何故、柊木領を守りたいって言ったんだ?
「総一郎、柊木領と本当に付き合っているのか?」
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