鳳凰の宮学園
掲示板 4
桜木君をうっとりと見ていたら、太い腕がいきなり僕の首にガシッと巻き付いてきた。
ウッ!
く、くるしーぃ!
「領、おっはよ〜さん♪桜木とみつめ合うなんて、俺妬けちゃうなぁ〜。」
こ、この声・・・寮長?
思わず腕が伸ばされている方へ目を向けたら、やはり寮長が目の前にいた。
「寮長!どうしてここにいるんですか?」
朝のHRがもうすぐ始まるというのに、1年の教室に何でいるんだろう?
僕が不思議に思って寮長を見ていたら、寮長は男前の顔をニカッと歯を剥き出しにして笑った。
「もちろん、愛しの領に会いに来たんだ!毎朝会わないと、1日が始まった気がしねぇんだよな。領、おはようのキスしようぜ♪」
寮長が顔を斜めにして僕の顔に近づいてきた。
僕は逃げようとしたけど、固まってしまって動けない。
キスされる!
そう思った瞬間、身体が後ろに引っ張られた。
「徳平さん、冗談はその辺にして上げて下さい。柊木君が困惑しています。」
背後から聞こえてきた声は、紛れもなく。
「神村先輩!!」
「おはよう、柊木君。朝から騒がしくしてごめんね。」
「い、いえ!でも神村先輩までどうして僕のクラスにいるんですか?」
神村先輩は少し苦笑してから、僕の頭を撫でてくれた。
嬉しいなってボォーっとしていたら、今度は寮長が僕を引っ張って後ろから抱き抱えられた。
「槇、頭なんて撫でたら新聞部の餌食にされちまうぞ。」
「徳平さんこそ柊木君を抱き抱えていたら、またスクープされますよ。今度は号外が出るかも知れませんね。」
新聞部?
スクープ?
号外?
2人は何の話をしてるんだろうか?
僕の頭の中がハテナマークで埋まっていると、河上君達が傍に来てくれた。
「領、おっはー!すげぇ有名人になったな♪」
「ちぃーす。ヒヒヒ、朝一から笑わせてくれんな、領!」
「おはよう、領。良く無事に教室まで来れたな。」
有名人?(河上君)
笑わす?(田嶋君)
無事に?(一之瀬君)
一体何のこと?
3人の言った言葉に僕の頭はついていけずに、只々3人を見つめていたら、一之瀬君が気付いてくれた。
「領、もしかして掲示板見てないのか?」
「え、うん。何か書いてあったの?」
「あー、えーと、うーん。」
一之瀬君が言いにくそうにしていると、寮長が助け船を出した。
「領、お前が俺と槇の2人を両天秤にかけてるって掲示板に載せられていたんだ。」
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