鳳凰の宮学園 目覚めて 2 その立ち姿は、とても回りの景色と調和していて、何だか幻想的だった。 ・・・綺麗。 なのに、何でだろ? 龍弥君が儚げに見えるのは。 僕は今にも消えてしまいそうな龍弥君を留めたくて、傍に駆け寄り抱き締めた。 ・・・というより勢い余って激突してしまった。 抱き付いた瞬間、木の枝や葉に乗っていた雪が、ドサッと僕と龍弥君の上に落ちてきた。 「領・・・熱烈な挨拶だな。そんなに俺に会いたかった?」 龍弥君は僕の頭の上に乗った雪をはらってくれながら、眥を下げて優しく笑みを浮かべていた。 「ち、違うくて・・・///。龍弥君が、その、えーと・・・!」 い、言えない〜。 龍弥君が消えてしまいそうだったから抱き付いたなんて。 そんなこと有り得ないのに、どうしてそう思ったんだろう? 恥ずかしくて下を向いていたら、龍弥君の長くて骨っぽい指が、僕の顎を捉えて、顔を上向かせた。 「おはよう、領。」 ・・・///。 明るい太陽みたいな笑顔。 初めて会った時も、この笑顔が素敵だと思ったんだ。 「おはよう、龍弥君!」 僕も笑顔で返すと、龍弥君は僕の手を握ってきた。 僕がキョトンとしていると。 「雪に足をすくわれないように繋いでてやるよ。」 顔から火が吹き出そうになった。 龍弥君ってば時々意地悪になるんだから! はっ! もしかしたら、さっき抱き付いたのも、躓いたと思われたのかも・・・。 龍弥君、優しいな・・・///。 洋館に着くと、僕達はコートを脱いで玄関に置いてあるナチュラルウッドにコートを掛けた。 そして僕は初めて! 初めて龍弥君の学生服姿を見ることが出来たんだ! その姿はもう、男の僕でも惚れ惚れするぐらいに格好良くて! まさに男の中の男!みたいな。 そうだ、ハチマキとか着けてみたら・・・応援団っぽいなぁ。 きっと似合いそう! 僕が妄想していると、龍弥君が僕の手を急に引っ張って歩き出した。 「領、そんなに見つめられると照れるよ。」 前を歩く龍弥君の耳が少し赤くなっていた。 フフ。 可愛い。 大人びて見えても龍弥君はやっぱり年下なんだ。 初めて来た時に通された小部屋に着くと、既に酒井シェフがいて朝食の用意を整えてくれていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |