鳳凰の宮学園 携帯 1 夜になると、雪がシンシンと降り積もってきて部屋の中が冷え込んできた。 机に向かって、今日受けた授業の復習をしていた僕は、身体がブルッと震えてきた。 「寒くなってきたなぁ。お風呂に入ろうかな?」 時計を見ると秒針が、10時15分を指していた。 「よし、入ろう!」 椅子から立ち上がって、お風呂に入る準備を始めていたら、携帯が軽やかに鳴り響いた。 チュン、チュン、チュンチュン♪ 最近お気に入りの鳥の鳴き声♪ そういえば昨日、何処に置いたっけ。 音が聞こえて来るのは、枕の下。 素早く手に取って、画面を見ると母さんの名前が表示されていた。 「もしもし!」 『領!母さんよ。こんな夜遅くにごめんなさいね。中々仕事の区切りがつかなくて。』 「良いよ。仕事が大変なのは分かってるんだから。」 『フフ。領には気を遣わせてばかりね。それで学校の方はどうなの?慣れない寮暮らしで大変でしょう?やっていけそうなの?』 「うん。思ってたより快適に過ごせそうだよ。良い人達にも出会えたし。」 『そう、良かったわ。心配してたのよ。今までも1人にさせてることが多かったけれど・・・悪い母親だったわ。』 「母さん、気にしないで!僕もう高校生なんだよ。男なんだし1人でも大丈夫だよ!」 『フフ。領の頼もしい声を聞けて安心したわ。でも呉々も体調には気を付けるのよ。』 「うん、分かってる。おやすみなさい母さん。」 フフ。 心配性なんだから。 僕は携帯を見詰めて1人微笑んでいた。 ん? そういえば! 僕は今朝方、龍弥君に貸して貰ったジャンパーを取り、ポケットに手を入れた。 あった! 龍弥君の携帯番号とメールアドレス。 早速メモを見ながら、自分の携帯に登録した。 打ち込みながらも、龍弥君の字って綺麗だなぁなんて思ったりしてにやけていた。 エヘヘ・・・///。 登録が終わると、しばらく携帯の画面とにらめっこした。 「電話してもいいかな?」 チラッと時計を見ると、10時30分前。 もう寝る頃だよね? 龍弥君は中学生だし、迷惑かけちゃ駄目だ。 明日電話しよう! ・・・でも、お礼だけでも言いたいし。 そうだ、メールを先に打とう! 初めて送るメールってドキドキするな。 龍弥君なら尚更。 だって年下であんなに格好良いんだもの! [次へ#] [戻る] |