鳳凰の宮学園
寮 3
しばらくぼんやりしてから、部屋の中を見渡した。
そういえば、どっちが僕の部屋なんだろう?同居人は部屋の中に居るのかな?
とりあえず僕は扉をノックしてみた。返事がない。もうひとつの部屋もノックした。反応はない。が、小さなくぐもった声が聞こえてきた。
「んっ。んんっ。」
寝てるのかぁ、起こしたら悪いよな。そーっと最初ノックした部屋に向かった。そしたら後ろから、とんでもなく大きな悲鳴が聞こえてきた。
「やあああぁ!あああぁー。いやあああぁ!」
僕は驚いて部屋に駆け込んだ。
「大丈夫?悪い夢でもみ・・て・るの?」
僕は目の前にある光景に驚いて固まってしまった。
だって、だって、ベッドで男同士が、裸で、抱き合ってるぅ?しかも、あ、あんなところにあんなものが・・・。うっ、気持ち悪い。
「あぁん。あっあっはぁ、気持ちイイ・・」
男の下にいる男の子が恍惚の表情をしている。僕は吐きそうになって部屋を出て行った。
リビングにあるソファーにもたれ掛かり、吐き気を抑えようとした。
「フゥ。」
だいぶ治まってきて、ホッとしていると、頭の上から機嫌の悪い声が聞こえてきた。
「てめぇ、なんで俺様の部屋に勝手に入ってきてんだ?」
顔をあげると、そこには目付きの悪い男が、僕を見下ろしていた。
こ、こわい!不良だ。
どうしよぉ?すっごく睨まれてるよぉー!
僕は真っ青になりながら、どうにかして退却する方法はないかと考えた。
でも不良は、そんな僕の考えはお見通しみたいで。
「おいブス、俺から逃げようなんて考えは通用しないぜ。覗きが趣味らしいがきっちり落とし前つけて貰うからな。」
僕はさらに真っ青になった。こ、こんな人が同室者だなんて神様ひどいよ!しかも、不良のHの相手も僕に脅しをかけてきた。
「あんた、僕達のファンかもしれないけどストーカーなんて最低だよ、学園にいられなくしてやるから。ねっ、久我山様。」
見た目がかわいい男の子は僕をストーカー扱いしてから、首を傾げて久我山様なる男に同意を求めた。
だけど久我山様は、さっきまでHしていた相手に、凍えるような冷たい視線を向けた。
「てめえ、いつまで此処にいんだよ。用は済んだんだ、さっさと帰りやがれ!」
かわいい男の子はその言葉に涙を流しながら部屋から出ていった。
僕は唖然とした。なんて酷い男なんだろう。男同士でも恋人なのに!
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