鳳凰の宮学園
管理人室 1
紫藤君にお礼を言い終えた僕は、部屋に戻ろうとした・・・んだけど、本庄さんに掴まってしまった。
「柊木君、昨日何があったの?今日停学された生徒と関係があるって本当なの?」
本庄さんの心配そうな顔に僕は昨日の事を話そうと決めた。
「はい。」
僕は本庄さんの在中している管理人室に通された。
部屋の中はこざっぱりしていて、本庄さんの人柄が出ていた。
でも・・・何か足りないような?
何だろう?
「柊木君、座ってて♪今お茶を出すから。」
「あっ、ありがとうございます。」
辺りを見回すと、何が足りないのか気が付いた。
生活感が無いのだ。
まるでカタログハウスのように整然としている。
本庄さんは此処で暮らしてるんじゃないのかなぁ?
あっ、いい香り。
お茶の良い香りが漂って来ると同時に、本庄さんが部屋に入ってきた。
「静岡から玄米茶をお取り寄せしたんだ。凄く良い香りがするだろう?」
「はい!僕玄米茶大好きなんです。」
「良かった♪」
ニコニコしている本庄さんは、本当に綺麗だな。
考えて見ると、この学園ってば、やたら美人さんや、美形、男前が多いような・・・。
気のせいかな?
一口お茶を飲んで落ち着くと、本庄さんが僕に話を促した。
昨日の件を思い出しながらゆっくり話して行く内に、本庄さんの顔は段々険しくなって行った。
話終えると溜め息を吐いて、今度は悲しそうな切なそうな表情を見せた。
「ハァ。無くなることはないんだな。」
僕は声をかける言葉が思い付かなくて、黙って本庄さんを見ていた。
それに気付いた本庄さんは苦笑してから。
「この学園ではね・・・柊木君が体験したようなことが毎年のように起きてるんだ。」
「・・・!」
「柊木君のように未遂に終わるケースもあるんだけど、大半は傷付くようなことが多いんだ。同性から受けた性的な暴力って本当に・・・本当に深くて。被害にあった生徒は皆苦しんでる。」
僕は昨日の事が、また怖くなってきた。
もしもあの時、龍弥君が助けてくれなかったら・・・って思うと、ゾッとしてきた。
僕の顔色が悪くなってきたのを見て、本庄さんは僕の隣に座ってあやすように抱き締めてくれた。
「ごめんね思い出させて。」
本庄さんの優しい声に包まれて、僕は涙を流していた。
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