鳳凰の宮学園
エントランス 2
僕が本庄さんを待ってエントランスで佇んでいると、エレベーターから桜木君が降りてきて此方にやって来た。
「あっ、桜木君!」
桜木君は僕に気付いてニコッと微笑んでくれた。
綺麗だなぁ〜。
見惚れてしまうよ〜。
「今帰ってきたの?遅かったね。」
「う、うん。図書室に寄ってきたんだ。」
「そうなんだ。何の本を借りてきたの?」
「それが、読みたい本が先に借りてる人がいたから、今日は借りられ無かったんだ。」
「それは残念だったね。予約はしたの?」
「返却されたら神村先輩が連絡してくれるって言ってくれて。」
「そう、良かったね。」
「うん。・・・///」
エヘヘ。
嬉しいな!
今日は教室で桜木君と話が出来なかったからラッキーだ。
僕と桜木君が会話をしていたら、いつの間にか本庄さんが僕達を見つめていて、それに気付いた桜木君が本庄さんに挨拶をした。
「本庄さん、こんにちは。それじゃ僕はこれで失礼するよ。またね、柊木君。」
えぇ!
寂しいな。
もっと話したかったのに。
背中を向けた桜木君は、会議室をノックしてから中に入っていった。
会議室に何の用だろう?
僕が桜木君の入っていった会議室を見つめていたら、本庄さんが声色を高くして。
「柊木君って美少年が好みなんだねぇ♪」
「な、な、何を言ってるんですか!?桜木君は同じクラスなんです!」
「その慌てようがアヤシイなぁ♪で、どっちが本命なの?」
「本命なんていません。僕は普通に女の子が好きなんです!」
はぁ〜。
本庄さんは、どうしても僕を変態にしたいらしい。
「それより、紫藤君の部屋番号教えて下さい。お礼を言いに行きたいので。」
「お礼?」
本庄さんの目がキラリと光った。
僕は本庄さんに話していいものか迷った。
心配をかけるのは心苦しいし・・・。
そんなことを考えていたら、いきなり可愛らしい声が僕にかけられた。
「柊木君?」
声と同じで可愛らしい容姿をしている紫藤君がいた。
「紫藤君!良かったぁ、ここで会えて!昨日のお礼を言いたかったんだ。」
「お礼?」
紫藤君は戸惑った様子を見せた。
何でだろう?
昨日のこと忘れちゃったのかな?
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