眠れぬ夜
愛する人 3
一瞬・・・時が止まったような気がした。
聞こえてきた言葉が頭の中で木霊して、紘平の紡ぎだした言葉に、僕は驚きのあまり固まってしまった。
『愛してる』
今、そう言った・・・よね?
「こうへぃ・・・今、今・・・」
僕が紘平を見つめながら問いかけると、紘平は僕の瞳を真っ直ぐに見てから微笑んだ。
ドキン!
なんて良い男なんだろう。
逞しくて優しくて、僕だけを見てくれる男。
「紘平・・・もう一回言っ、ん、アァ!アッ、アッ、アッ!」
紘平が腰を動かし始めたので、僕は成すがままにされた。
あぁ、ダメ!
そんなに激しく擦っちゃイヤだ。
「ア、ア、アーー!」
快感が次から次へとやってきて、もう何も考えることが出来なくなってしまう。
紘平が僕のペニスを扱き、僕と一緒に紘平も僕の中に熱を放った。
ドクン。
ドクン。
紘平の精子が僕の中に注がれていく。
熱くて、熱くて、僕の後孔に惜しみなく与えて、紘平の物だと印してくれる。
僕が幸せな気持ちに浸っていると、紘平が僕の顎を捉えて、優しいキスをしてくれた。
そして唇が離れると微笑み、額に張り付いた前髪を掻き上げてくれた。
「玲、お前ん中最高だ。このままいくらでもイケそうだが・・・流石に腹が減ったな、メシにするか。玲、歩けるか?」
問われても、意識が朦朧な上に身体がダルくて、返事をしようにも出来なかった。
「玲、少しの間寝てろ。俺が戻って来るまでイイコでいろよ」
そっと紘平がベッドから下りると、前屈みになって僕の耳元で囁いた。
「愛してる」
・・・紘平、
僕も、
僕も・・・だよ。
幸せな気持ちに包まれていると、睡魔に襲われ一時眠りについた。
次に意識が覚醒した時、鼻孔を擽るコーヒー豆の良い香りがしてきて、うっすら目を開けると紘平がベッドに腰を掛けて僕を見ていた。
「・・・紘平?」
「あぁ、目が覚めたか・・・起きれるか?コーヒー淹れたんだ、メシにしよう」
「うん」
ベッドに手を付いてからダルい身体を持ち上げ、足を引寄せてから取り敢えず座ってみた。
思った以上に腰に力が入らなかったからだ。
「玲、どうした?」
「・・・立てない」
座ったままでいると、紘平が僕をシーツにくるみ、空かさず姫抱きされてリビングまで運ばれた。
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