眠れぬ夜
海 4
「何でも・・・」
ない。って言おうとしたら、不動の両手が僕の両頬に添えられて、言葉を発っせられなかった。
そして目力のある視線が僕に向けられて。
「嘘つくんじゃねぇ。お前の顔見てたら、すぐに分かるんだ。」
「え・・・///。」
「だから言えよ。何でそんな悲しそうな面してたんだ?」
それは・・・。
それは不動が好きだから。
好きだから不安なんだって言ったら、不動はどう思うのだろう?
女々しいって笑うだろうか?
僕は不動を見ていられなくなって瞼を伏せた。
すると不動が溜め息を吐いた。
「ハァ。やっぱお前、俺のこと好きじゃねぇんだろ。」
え?
不動の一言を理解することが出来なかった。
「一昨日の告白、俺が・・・俺が脅迫してると思ったんだろう?断ったら何されるかわかんなかったから・・・だからお前も好きだなんて嘘ついたんだろ?」
「な、何言ってるんだ?僕が嘘?」
不動の余りな言い様に、僕は呆然となったが次第に怒りがわいてきた。
僕がどれだけ不動のことが好きで、悩んで傷付いていたか。
「僕は嘘なんて言わない。不動が、不動が好きだから自分の想いを打ち明けたんだ!」
僕が怒りに任せて言うと、不動は・・・鳩が豆鉄砲を喰らった顔・・・ってこういうのを言うんだろうって顔をした。
そして頭を下げ肩を震わせると、クックッと笑い声が聞こえてきた。
「鷺ノ宮、お前、怒れるんだ?」
は、はぁ〜?
僕は言葉に窮した。
不動は直も笑いながら、顔を上げると。
「怒った顔も良いな。そそられる。」
な、な、な?
僕は身体中から蒸気が出てしまうんじゃないかと思うぐらいに熱くなり、恥ずかしさで一杯になった。
「いや、やっぱり羞恥心で潤んだ瞳の方が勃つな。」
くらっ。
立って居られない。
こんな公共の場所で、そんな言葉を使うなんて!
僕が恥ずかしくて、目をギュッと瞑っていると、不動はさらに追い討ちをかけてきて。
「鷺ノ宮、海に行くの止めてホテルにしけこむか?」
「ば、ば、馬鹿!しけこむって・・・///。」
なんて下品な言葉を吐くんだ!
信じられない!
「今すぐヤリてぇ気分なんだが・・・こんな昼間っからじゃあな。どう思う、鷺ノ宮?」
サラリと言う不動を見ると、とんでもなく意地の悪い顔をしていた。
だけど・・・とってもセクシーで魅力的だ。
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