眠れぬ夜 朝 1 僕がどんなに辛くて泣いていても、朝は必ずやって来る。 カーテンから覗く朝陽の眩しさと小鳥の囀りで目が覚めると、瞼が重いことに気が付いた。 「腫れてる・・・。」 昨日1日中泣いていたから当然かもしれないけれど。 起き上がって鏡を見ようとすると、少し暗いので窓の側によりカーテンを寄せてから、窓を開け放った。 「良い天気だ。」 腕を上げて伸びをする。 踞って寝ていた為に、身体がガチガチだったのが少し解れた。 そして鏡の前に立って自分の顔を見てみる。 「やっぱり腫れてる。ちょっと冷やした方がいいな。」 冷水で浸したタオルをしばらく瞼の上に置いた。 ひんやりして気持ち良い。 「はぁ。・・・学校に行きたくないな。」 こんな気持ちのまま、勉強なんてしても身に入らないだろう。 それに・・・それに、不動に会ったらどうしよう? 今でも泣きたくなるのに、顔を合わせたらきっと・・・。 そうだ! 不動の顔を見なければいいんだ。 朝から会うことも無いんだし、この1年滅多に学校にも来なかったんだ。 「早く学校に行ってしまおう。」 思い立ったら早く登校したくなって僕は急いで家を出る準備をし、用意を済ませると玄関から庭先に出た。 朝が早いせいなのか、まだ涼やかだ。 「梅雨が明けたって言ってたっけ。」 来週には期末テストがある。 それが終わったら直ぐに夏休みだ。 ・・・不動とは会えなくなるな。 「ハァ。・・・馬鹿だ僕は。」 会ったら動揺するのに。 今だって会わないようにするために早く家を出てるのに。 こんなにも不動に会いたくなるなんて。 駄目だ!駄目だ! 僕は首を振って不動を頭の中から追い出した。 いつまでも不動のことを考えてはいけない。 もう終わったのだ。 嵐のように始まって、突然・・・終わりをつげた。 僕の心を置き去りにして。 「・・・でも会いたい。」 アァ! 本当に考えるのを止めよう! 早く学校に行こう。 僕は庭先から表門へ行き扉を開け潜り抜けた。 そうしたら・・・。 そうしたら、そこには思いもかけない人物がいて、僕の心臓は止まるんじゃないかと思った。 「・・・ふ、どう?」 どうして・・・ 此処にいるんだ? [*前へ][次へ#] [戻る] |