眠れぬ夜
親友 1
不動の目が、態度が、以前と違う。
ような気がする。
いつも真正面から僕を見てる。
僕はその視線から目を反らせない。
ここの所、不動は僕に手を出さなくなっていた。
抱かなくなったということだ。
なぜだか解らないけど。
その代わり抱き締められる事が多くなった。
下校もほとんど毎日送ってくれている。
何でだろう?
不動が不動じゃないみたいだ。
あの激しく僕を犯していた不動は何処に行ったんだろう?
あの熱くて高揚する感覚が堪らなく・・・。
はっ。
僕は何を考えているんだろう。
イヤらしい・・・よね。
でも、何だか寂しい。
不動に触られたいって思うのはイケナイこと?
キス・・・したい。
あの溶けるような、不動の熱いキスを味わいたい。
不動は一体何を考えているんだろう?
僕が机に突っ伏していると、神谷が顔を覗き込んできた。
「鷺ノ宮、しんどいのか?」
「いや、考え事してただけ。」
僕は顔を横に向け、神谷を見た。
「フーン。」
何だか神谷は、いつもの明るい神谷じゃなくて、心配事でもあるような生気のない顔をしていた。
「神谷こそ、悩み事でもあるのか?らしくないじゃないか。」
「んー。悩み事っつうか。ダチが悩んでるかもしれないから聞いた方がいいのか悩んでる。」
僕は顔を上げて神谷を見る。
友達付き合いの良い神谷だから、きっと深く心配してるんだ。
「神谷はその友達を大事に思ってるんだな。」
「あぁ。親友だからな。」
僕は神谷の優しさに頬が緩んで、話しを聴くことにした。
「友達が悩んでるかもって、どうして思ったんだ?」
「元気がないし、遠くを見ることが多いし、それに・・・。」
「それに?」
神谷は呼吸を整えようとして、深く息を吐いた。
「見たんだ。」
「見たって?何を?」
「・・・素行の悪い奴と一緒に歩いている所。」
僕は息が止まった。
神谷の心配してる友達って、
・・・僕、なのか?
いつ、不動と歩いている所を見られたんだろう?
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