眠れぬ夜
恋
久しぶりに自分の家に帰ってきて、部屋のベッドに身を投げ出した。
そして瞼を閉じる。
だが、目の前をちらつき思い浮かべるのは鷺ノ宮の事ばかり。
あいつが好きだ。
鷺ノ宮の全てが欲しくて触りたくて、何もかも奪いたくて、理性が働かない。
今日だって、抱くつもりはなかったんだ。
あいつと一緒に並んで歩きたかっただけ。
だが、あいつの涙を見て欲情した。
それから欲望のままに抱いた。
帰り道でも、あいつが突然公園に入って仔猫を抱き、頬擦りしてる姿を見たら、またもや欲情して場所が公園だってことも関係なく抱いてしまった。
「ちっ。」
情けねぇ。
鷺ノ宮を大事にしてぇのに、こうも理性が保てねぇとは。
あいつが色っぽすぎるんだ。
抱いても抱いても飽きねぇし、それどころかもっと突き上げたくなる。
喘がせて悦ばせて、俺無しじゃいられなくしてやりてぇ。
「はっ、全く。俺は何を考えてんだ。」
これじゃあ、ただの変態だ。
あいつの傍にいられねぇ。
1人の人間にこんなに執着するなんて思いもしなかった。
なんだか俺が俺じゃねぇみたいで。
そういえば・・・。
あいつ風邪引いてねぇだろうな。
最近の鷺ノ宮は痩せたし、青白い顔をしてる。
元々細かったが、抱いてると壊してしまうんじゃねぇかって思ってしまう。
しかも今日、まさかバックだけでイクとは思っても見なかった。
だから俺は嬉しくなって、つい調子に乗ってあいつに俺とのsexが好きかと聞いたら、違うって言われて、カッとなり更に突き上げた。
あいつの一喜一憂に俺は翻弄される。
それに・・・
あいつとのキス。
今までしたどんなキスより、極上の味がした。
「あいつの口の中、熱くてトロけそうだった。」
意識がねぇ時とは違い、あいつの息遣いとか舌の感触とかが分かって興奮した。
「またしてぇな。」
独り言を呟いて自己嫌悪に陥る。
駄目だ。
もうあいつとはヤらない。
鷺ノ宮を抱きたいが、無理強いは今後しねぇ。
あいつの身体だけじゃなく、心も欲しい。
ガラじゃねぇけど、初めて人を好きになったんだ。
どんなことをしても鷺ノ宮を手に入れてみせる。
だから無理矢理は絶対無しだ!
俺は固く心に誓った。
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