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眠れぬ夜
片想い


ファーストキスはレモンの味がするなんて、誰が言ったんだっけ?



僕の初めてのキスは香りや味なんてしなくて、ただ不動の吐息の熱さだけが残った。



「不動・・・」



愛しい男の名前を呟いてみる。



浴室に響いて僕の耳に心地よく届く。



ああ!

なんて事だろう。

不動にキスされた。



その事実に僕の胸の鼓動は早鐘を打ったように高鳴った。



今まで何度も体を重ねてきたけど、不動はキスだけはしなかった。



なんで急にキスしたんだろう?



キスをされるまでは考えもしなかったけど、不動は僕のこと・・・。



パシャッ。



僕は湯船に顔をつけ、しばらくそのままでいた。



・・・熱い。



顔も身体も全てが火照って、僕は熱に浮かされたように舞い上がっていた。



指で唇をなぞってみる。



キスされただけなのに・・・、



こんなに幸せな気持ちになるなんて。





「不動・・・好き。」



ズルズルと頭まで湯船に浸かる。



言葉にしてみると、かなりはずかしい。

でも自分の心がはっきりと分かる。



この想いが例え届かなくても、僕は不動が好きなんだ。



「はぁ〜。」



なんで好きになったんだろう?



不動は僕のことセフレぐらいにしか思っていないのに。



いや、やっぱり玩具だ。

手頃にsexできる玩具。



今日だって、安西さんを僕に近付けておきながら、平気で僕を抱いてきた。



目的はなんだったんだろう?



飽きたから?

だったら抱かないはず。

考えても分からない。



「不動・・・僕は不動の事が知りたい。近付いてもいい?」



好きになった分だけ不動が何を考えているのか、どんな生活をしているのか知りたくなってきた。



きっとそんなことを思ってる僕を不動は鬱陶しいって感じるだろうな。



でも、知りたい。

不動の全てが。



「話したこと、ないけど・・・」



不動は僕と話してくれるだろうか?



・・・・・。



無理だ。

絶対に。



きっと話す前に体を重ねてくるはず。



そもそも僕と共通の会話なんてあるんだろうか?



ガックリと頭を垂れた。



「はぁ。絶望的だ。」



改めて身体しか求められてない存在なんだって思うと、なんだか惨めになってきた。



だけど、不動が好き。

こんな気持ちにさせた不動がイケナイんだ。



僕なんかを抱くから。




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あきゅろす。
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