眠れぬ夜
捨て猫 1
まだ雨は降り続けていたけれど、激しく打ち付けるのではなく優しく、しとしとと降っていた。
傘を差して不動と二人、連なって歩いていた。
先程まで体を重ねていた不動は、まるで何事もなかったかのような飄々とした表情をしている。
どうして僕なんかを家まで送るんだろう?
玩具なら放っておけばいいのに。
息苦しい。
「はぁ。」
思わず溜め息が漏れた。
それを聞き逃さなかった不動は立ち止まり、僕の方を見た。
「どうした?」
「何でもない。」
僕は自分の中のモヤモヤした気持ちの行く当てがなくて、押し黙っていた。
そんな僕を不動は険しい目付きで見ていた。
「何でもないのに溜め息を吐くのか?」
不動と会話したくなくて構わずに歩いていくと、腕を掴まれた。
力強い腕。
目眩がするよ、不動。
「鷺ノ宮・・・」
僕の名前を呟いた不動だったが、何も言わずに手を離した。
それから2人共黙って歩き続けた。
ニャー。
猫の鳴き声がする。
ニャー、ニャー。
公園からだ。
僕は迷わず公園の中に入っていった。
何処に居るんだろう?
ニャー。
鳴き声が大きく聞こえる。
近くにいる。
居た!
段ボールの中に居た仔猫は一匹で、箱に書いている字を読むと。
「仔猫貰ってください。4匹供雄です。」
あぁ、お前。
1人残されたんだな。
僕は仔猫を抱いてから頭を撫でてやった。
すると仔猫は嬉しそうに鳴いた。
そして仔猫の舌が僕の頬を舐めてきた。
くすぐったい!
可愛いなぁ。
「・・・。」
不動が何か喋ったような気がしたので振り向くと、いきなり腕を引っ張られた。
「不動?何?イタッい!離して・・・。」
僕は仔猫を抱き抱えたまま、不動に引き摺っていかれた。
公衆トイレ。
嫌な予感がした。
それは的中で、不動は僕を個室に入れてからベルトに手を掛け、ズボンを下ろした。
そしてバックでいきなり突き始めた。
僕は仔猫を抱えていられずに落としてしまっていた。
「あぁー、やぁ、やめ・・・」
30分前に図書室で行為をしたというのに、不動はどうしてまたしたいと思ったのだろう?
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