眠れぬ夜
雷雨 4
どれぐらい、その場所に踞っていただろう。
雨脚が一層激しくなり雷まで鳴り出した。
いつまでもこうして居られない。
そろそろ帰らなくては。
そう思い立ち上がったら、鞄を持っていないことに気付いた。
「鞄。はぁ、図書室だ。」
図書室に鞄を置き忘れたことを思い出したので取りに戻ろうとしたが、足取りが重くてなかなか前に進まない。
図書室の前に着き扉を開けようとしたら、顔見知りの委員の人が出てくる所だった。
「もう、閉めるんだけど、何か用でもあるの?」
「あの・・・鞄を忘れて。」
図書委員の人は仕方ないっといった表情をして。
「待ってるから取ってきて良いよ。」
僕は悪い気がしたので、図書委員の人に鍵は僕が返しておきますと言った。
「悪いね、じゃあお願いしても良いかな。お先に失礼するよ。」
「はい。お疲れ様でした。」
僕は図書委員の人と別れてから室内に入り、鞄を置いた所に行った。
だけど・・・鞄は無かった。
確かに此処に置いた筈なんだけど。
部屋の中を一通り見回ったけど、やはり無かった。
なんで無いんだろ?
僕が考え込んでいると、ガタッと扉の開く音がした。
僕はビクッとして、扉の方を見た。
すると今一番会いたくない不動が現れた。
どうして、ここに来たんだ?
安西 杏子に聞いたのだろうか?
「お前、何処に居たんだ?」
「え?」
「教室に行っても、ここにも居なかったし、ずっと靴箱で待ってたんだぞ。」
どうして待つんだ?
聞きたかったが声にすることが出来なかった。
「図書委員の奴が帰ったのに、図書室に電気が付いてたから来てみれば・・・案の定、お前が居るし。」
不動は何を言い出すんだろう?
「帰ろうぜ。」
「え?」
「まだ何かここに用でもあんのか?」
返答に困り、僕は俯いた。
解らない、不動が。
もう飽きたんだろ?
何故構うんだ?
不動が僕に近寄ってきた。
顎を掴まれて、顔を上げさせられた。
その拍子に僕の瞳から一筋の涙が零れ落ちた。
不動は少しの間、僕を見つめていた。
そして・・・
乱暴に制服を引き裂きながら、僕を押し倒した。
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