眠れぬ夜
降り始め 2
胸の鼓動が早鐘を打つ。
僕は力が抜けストンと椅子に座った。
視線を反らされた?
ズキズキズキ。
しばらく俯いていたら、神谷が戻って来た。
ドサッ!
「鷺ノ宮、今日もゲットしたぜ!俺ってスゴい男だろ!」
「うん・・・。」
神谷は僕の返事が気になったようで。
「どうした?元気ないぞ。大丈夫か?」
神谷が僕の額に手をかざした。
「熱はなさそうだな。」
「大丈夫だよ、神谷。いろんな食べ物の匂いがしてきたから少し気分が悪くなっただけ。」
神谷は腕を組み首を上下に振って納得した。
「分かるぜ!この梅雨時は蒸し暑いから、匂いが部屋に充満しちゃうんだよな。どっか別の場所で食べるか?」
僕は迷った。
不動の側から放れたい一方で、一秒でも長く一緒の空間に居たいと思っている自分がいる。
でも、不動の隣には彼女らしき女の子が座っている。
「神谷、別の場所でも良いか?」
「良いぜ。じゃあ移動しよう!」
僕と神谷は食堂から出て教室に戻ってから、昼食を取り始めた。
※ ※ ※ ※
「ねぇ、鷺ノ宮君て綺麗な顔してると思わない♪」
sexする事しか頭にない杏子が、鷺ノ宮の話を持ち出した。
「紘平は男らしい顔だけど鷺ノ宮君は美しいのよね。1度お相手願いたいわぁ♪」
俺は杏子を殴り倒して殺りたくなったが、ふと興味がわいた。
俺しか受け入れてない体が、女の杏子を抱けるだろうか?
鷺ノ宮も男だ、抱けるだろうが。
だが・・・。
最近のあいつは、俺に抱かれることに対して抵抗して来ない。
抵抗することに疲れたのか?
それとも・・・。
俺は自分の馬鹿さ加減に呆れた。
レイプした男を好きになるわけないだろ。
しかも手酷く抱き続けている。
「・・・へい、紘平ったら!あたしの話し聞いてるの?」
杏子が喚いている。
五月蝿い女だ。
今日も朝から俺のねぐらに押し掛けて来やがって。
彼女気取りか。
「紘平、鷺ノ宮君だって男だもの。あたしみたいな綺麗な女が言い寄ったら堕ちると思わない?」
俺には杏子がアバズレに見えるがな。
「フン、堕とせるか?」
杏子は自身たっぷりの笑みを作った。
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